研究概要 |
液晶は次世代のフラット・パネル・ディスプレイとして最も可能性を秘めているキーデバイスである.しかしながら,多くの液晶表示素子において視野角の狭さが高品質表示を実現する欠点として指摘されている.その課題の解決を図るために,本研究では以下のような検討を行い,その目的を達成した. (1)狭い視野角の原因は液晶分子が屈折率の異方性を持っていることである.そこで複屈折の角度依存性を補償する方式として二層式電界制御型複屈折性液晶表示素子(D-ECBセル)を考案し,その光学的補償条件を理論的に明らかにした. (2)設計条件に基づきD-ECBセルの電気光学特性を実験的に評価し,視野角を大幅に拡大できることを確認した. (3)D-ECBセルは電圧印加時にのみ光学的補償効果を発揮する.電圧無印加状態でも補償効果を出すために,光学位相フィルムを用いたD-ECBセルについて検討した結果,視野角の拡大が実現された. (4)どのような電圧印加条件においても広い視野角を実現するために総合的な検討を行い,最適条件を明らかにした. 上記の研究を通してリタデーションの光学的補償効果に基づいた二層式電界制御型複屈折性液晶表示素子を設計試作し,極めて広い視野角を有することを実証した.
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