研究概要 |
レーザー照射は、従来の加熱装置に比べ急速加熱し急速冷却出来ることから従来にない機能を発現する新材料の開発手段として有効である。そこで、本研究は高温強度に優れ重量比強度が高い金属化合物の合金粉末作製にレーザー照射を適用すること、及び多層膜にレーザー照射を行い金属間化合物を作製することによって機械的特性を向上させ原子力材料としての適合性を明らかにすることを目的とした。 科学研究費補助金で購入した市販のチタン板とアルミ板を積層させロータリーポンプで排気したチャンバー内に固定し、3KWの炭酸ガスレーザーを試料表面が焦点面になるようにして照射した。加工ガスには、窒素ガスを用いた。レーザー直下に設置した金型に吹き付けることによって得られた合金粉末の形状を調べるために走査電子顕微鏡で観察した結果、ほぼ球形で数mumの大きさであることがわかった。合金粉末の組成を調べるためにX線回折を行った結果、Ti_3Al及びTiAl,Al_3Tiが形成していることが判明した。その合金粉末を一軸冷間プレスを行って成形し、科学研究費補助金で購入した精密低速切断装置を用いて薄片化し電解研磨の後高分解能電子顕微鏡で微細組織観察を行った。制限視野電子回折像は、デバイシェーラー環と複数の斑点を示し組織が非常に微細で複数の相が混在していることを示唆された。タンデム型加速器を用いて3MeVのAu^<2+>イオンを540℃で約250dpaまで照射した結果、更に結晶粒は微細化しボイドは観察されなかった。今後、更に高温で照射実験を行い現在中性子照射中の試料と共に組織変化と機械的特性の変化について研究する計画である。以上、本研究においてチタンとアルミを積層させた多層膜にレーザーを照射することによってTi_3Al及びTiAl,Al_3Ti層を含む微細結晶粒の金属間化合物粉末を作製できることが明らかとなった。
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