海洋細菌Alteromonas sp.H-4株の培養上清から精製したアルギン酸分解酵素を5mM HEPES-25mM MgCl_2-50%天然海水-0.7Mマンニトールに対し透析し、アルギン酸分解活性を30U/mlに調整し、1.5%Cellulase Onozuka R-10(Yakult本社)を添加したものを細胞壁分解酵素液とし、マコンブ芽胞体からプロトプラストの単離を試みた。15℃で反応を行った結果、約1時間後からプロトプラストの遊離が認められ、反応3時間後には藻体1g当たり4.5×10^6cells、5時間後には1.3×10^7cellsのプロトプラストが得られた。得られたプロトプラストは球形、黄金色で10〜25mumの大きさであった。また、ニュートラルレッド染色法によりほとんどの細胞が生存していることが確認された。さらにプロトプラストの収量と生存率を高める反応条件を検討した結果、プロトプラストの単離にはアルギン酸分解酵素の他にセルラーゼが必須であり、高張液の組成は海水濃度が50%、MgCl_2濃度は50〜100mM、緩衝液成分は5mMHEPES、マンニトールの濃度は0.5Mとした場合が至適であった。本条件下(MgCl_2濃度は25mM、反応3時間)で得られたプロトプラストの収量は5.2×10^6cells/g、生存率は98%であった。対照として市販のアワビアセトンパウダー(Sigma社)をアルギン酸分解酵素源とし、同一条件下で反応を行った場合ではプロトプラストの単離が認められず、Alteromonas sp.の産生するアルギン酸分解酵素の有効性が明らかとなった。また、マコンブプロトプラストの培養を試み、培養液への抗生物質の添加はプロトプラストの再生に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。上記の至適培養条件下で単離したプロトプラストをProvasoliのESI培地で5℃、35001x、12h:12h明暗周期の条件下で培養を行ったところ、培養2〜3日目に細胞壁が再生し、6日目から分裂細胞が観察され始め、その後さらに繰り返し分裂した細胞も認められた。本結果からマコンブプロトプラスト培養系の確立が進展すると期待される。
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