従来、設計と加工の情報伝達の必然性、CADとCAMとの有機的結合が叫ばれてきたが、依然として困難な状態にある。それは、設計(CAD)モデルが形状の幾何の観点や機能の観点からの表現しか行われていないためである。この問題点を解決すべく加工特徴という概念が導入されてきたが、これまでは、工具を中心にした分類や形状特徴を中心にした分類方法であり、加工モデルに必要な加工作業の観点での表現が行われていなかった。そこで本研究は、加工単位作業を十分に支援するモデルとして加工特徴を定義し、加工作業を加工特徴を用いて記述することを目的としている。本研究では、以下の手順で研究を遂行した。 1)単位加工作業表現に関する理論的検討 単位加工作業の抽象化を、V.T.Portmanの形状創成機能モデルの考え方を基本として工作機械、工具、加工運動を含めた加工作業モデルとして抽象化を行った。この加工作業モデルと加工特徴を対応させるように、加工特徴のモデル化を行った。 2)基準面、データム面を考慮した加工順序の表現方法 基準面、データム面に関する情報は、加工特徴間の空間配置関係に依存している。この情報を基に、同一取り付け状態の加工特徴をグループモデルとして表現し、加工順序の表現法提案した。 3)加工作業モデルを用いたモデリングシステムの試作と評価 以上のモデルのモデリングシステムをコンピュータ上で実現し、穴加工における加工作業モデルを表現し、実際の作業情報と比較を行い、本研究の妥当性を実証した。
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