研究概要 |
増え続ける温室効果気体が地球の気候環境を変えることが懸念されているが,大気の微量気体がどの程度の量,どの様なメカニズムで,さまざまな地表から出ているか,あるいは植生などによって吸収されているが明確にされていないことは気候変化の予測を困難にする一因となっている.これは,微量気体の動態の測定技術が未開発であることが原因である.微量気体の交換過程は大気乱流の混合がその役割を果たす.したがって,微量気体濃度の乱流変動をさまざまな植被上などではかる必要があるが,現在の技術では分析器の応答性,安定性に限界がある.この点を解決する方法として提案されたのが渦集積法である. 渦集積法は気流が上向きの成分と下向きの成分を持つ場合にわけてそれぞれ空気を別々にその成分の大きさに比例して容器に収集し,それぞれの濃度を計測する方法である.しかし,誤差が大きいため,条件を緩和して空気の収納を定速で行う簡易渦集積法が提案されている.本研究ではその方法を実用化するためにサンプリング装置を開発し,森林で試験観測を実施した.観測は滋賀県南部の針葉樹林で行った.この簡易渦集積法では係数を実験によって決定しなければならない.そのために,すでに乱流変動の測定が可能な赤外線の二酸化炭素変動計をもちいて直接的な渦相関法により二酸化炭素のフラックスを求め,その一方でサンプルした二つの容器の二酸化炭素濃度は購入した赤外線分析計を用いて測定した.両者から係数の決定を試みたが,比較的安定した値が得られ,簡易渦集積法の実用性が確認できた.この方法をさらに,水田からのメタンガス出入りの評価に適用して予備的な測定を行った.
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