本研究では、以下の成果を得た。 ・正準方程式の安定多様体がハミルトン・ヤコビ偏微分方程式の解であることを利用し、時間軸を逆にとることによって、常微分方程式の数値解法に帰着させた。 ・上記の常微分方程式を数値的に解くにあたって、その初期点を与えるアルゴリズムを開発した。具体的には、初期サンプル点を一様に分布させ、安定多様体上の線形近似式を用いて原点近傍までシミュレートし、さらに安定多様体の1次近似を用いて2n次元の初期点を得る方法を開発した。原点近傍までの所要時間をもとに ・得られた解曲線をBezier補間式で最小2乗近似し、状態量χの関数として表現した。その関数を用いて制御器を作ることが可能となった。 ・上記の手法を基に、購入したワークステーション上に、目的の解を高精度に得る解法パッケージを開発した。 ・本方法の特長の1つは、得られた解曲線の存在範囲によって、得られた解の有効な定義域が推定できることである。これは、原点でのTaylor展開による従来の方法ではできなかったことである。
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