食道発がん初期病変の形態学的特徴とがん関連遺伝子の異常の検討

研究課題番号:08770141

1996年度 研究実績報告書


代表者

    • 中西 幸浩
    • 研究者番号:10260316
    • 国立がんセンター研究所・病理部・研究員

研究課題基本情報

  • 研究期間

    1996年度~

  • 研究分野

    人体病理学

  • 審査区分

  • 研究種目

    奨励研究(A)

  • 研究機関

    国立がんセンター

研究概要

食道ルゴール塗布法により肉眼的にも観察しうる上皮内の軽微な形態異常を明らかにするために、背景粘膜にルゴール不染帯の多発している食道がん全割切除材料12例の不染帯157病変を対象に不染帯の大きさとその組織所見とを対比した。5mm以下の不染帯は93病変見られ、その内訳は、上皮萎縮9病変(10%)、軽度異形成69病変(74%)、中-高度異形成10病変(11%)、がん5病変(5%)で、6-10mmの不染帯は、41病変見られ、その内訳は、上皮萎縮1病変(2%)、軽度異形成28病変(68%)、中-高度異形成7病変(17%)、がん5病変(12%)で、11mm以上の不染帯は、上皮萎縮0病変、軽度異形成7病変(29%)、中-高度異形成0病変、がん16病変(67%)見られた。不染帯の大きさが増すにつれて異形度も増す傾向が見られた。軽度異形成とした104病変の中には、リンパ球浸潤を伴うもの21病変(20%)、上皮厚の減少を伴うもの17病変(16%)及びその両者を伴うもの15病変(14%)が見られた。さらにメタノール固定全割切除材料3例の非がん粘膜における不染帯33病変(軽度異形成病変)を対象にcytokeratin1,14,19,PCNA及びp53遺伝子産物の発現異常を検索した。正常食道上皮では陰性のcytokeratin1のsuprabasal layerにおける発現異常が13病変(39%)に見られ、正常食道上皮では基底層に一致した発現の見られるcytokeratin14が30病変(91%)においてsuprabasal layerにおいても見られた。正常食道上皮では、乳頭部においてのみ発現の見られるcytokeratin19が全病変においてsuprabasal layerにも発現が見られた。PCNAのindexの上昇は、22病変(67%)に見られ、p53の発現異常は、16病変(48%)に見られた。ルゴール小不染帯の中には、分化異常や遺伝子異常を伴う病変が高頻度に認められ、それらの肉眼的にも観察しうる小病変は、扁平上皮がんの発がん初期病変の解明のために重要な変化と考えられる。

発表文献

  • Yukihiro Nakanishi: "Expression of E-Cadherin'd-Cactenin,β-Catenin and Plakoglobin in Escphageal Carcinomas and its Prognostic Significance" ONCOLOGY. 54. 158-165 (1997),

  • Yukihiro Nakanishi: "Epidermization in the Esophageal Mucosa : Unusual Epithelial Changes Clearty Detected by Lugol's Staining" American Jouranal of Surgical Pathology. (in press). (1997)

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