研究概要 |
動的環境下での自律的動作を目指す知能ロボットシステムにおいては,高速応答性を実現するスーパーチップの開発が重要となる.本年度の研究においては,平成9年度の研究で得られた知見を元に,動的再構成に基づくロボット制御用ビットシリアル演算方式並列プロセッサアーキテクチャの有用性を実証することを目的としている.以下に,これまでの主な研究成果を示す. 1. 汎用部品による試作 考案した並列プロセッサの有用性を実証するため,現有設備である論理設計CADシステムとプリント基板設計CADシステムにより,ビジュアルサーボVLSIの演算部について,汎用部品を用いてブレッドボードを設計した.また,このブレッドボードを試作するためには多層プリント配線板が必要となったため,多層プリント配線板を低コストで試作するシステムを独自に開発した.さらに,多チャンネルロジック信号発生器やロジックアナライザ等を用いて,試作した演算部の動作確認を行った結果,動的再構成という概念を導入した並列処理の有用性を確認できた.加えて,現有設備である5自由度ロボットマニピュレータとモノクロCCDカメラを用いてビジュアルサーボの実験を行うため,画像取り込みボードを新たに試作するとともに,システム開発用プラットフォームとしてのパソコン上でのシミュレーション環境を構築した.これにより,試作した回路を組み合わせた場合の制御実験結果と,パソコン上で処理した場合との比較を行うことを可能としている. 2. ソフトウェア開発システムの構築 試作したブレッドボードの汎用性を評価するため,ソフトウェア開発システムを構築した.この結果,従来構築してきたビットパラレル演算用のソフトウェア開発環境について,ビットシリアル演算による場合でも特別に複雑な処理を追加することなく,近似的に演算遅れ時間を最小化できることが明きらかとなった.
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