研究概要 |
廃棄物処分場からの浸出水漏洩は処分場の底部に浸出水が貯留し正の水圧が付加されることに起因する。本研究ではこの水分貯留を抑制するためにキャピラリーバリアを用いた排水構造を底部に設け,水分を迅速に排除する機構を開発した。上部層試料,下部層試料に種々の材料の組み合わせを採用し,数段階の勾配,降水量で小規模実験(幅60cm,奥行き15cm,高さ55cm),及び大規模実験(幅350cm,奥行き20cm,高さ95cm)を行い,排水効率とそれを左右する影響因子について検討した結果,バリアの効率には上部から供給される水量が最も大きな影響を与えることが明らかとなった。バリアが効率的に機能し,100%の水分を鉛直方向へ通過させることなく側方へ排除できる限界の水量は概ね100cm^3/h/cmであった。これは,例えば,距離20m程度の実規模を想定した場合,約0.5mm/h程度の水量に相当する。従って,処分場底部に到達する水量を,覆土による排除,廃棄物層内における水量変動のピークカットによって0.5m/h程度にまで低減させることができたならば,処分場底部においては,浸出水が遮水シートに到達することはなくなり,漏洩リスクは低減するものと考えられる。本研究では,さらに,バリアの排水機能を向上させるために二層境界部にジオテキスタイルを敷設した条件,及び下部引き込み深さを変化させた条件についても検討を行い,引き込み深さを大きくとるほど,また効果的な排水材を中間に廃することで排水効率が向上できることを確認した。
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