研究概要 |
砕波帯内の3次元流速場・水粒子軌道の特性について,以下の重要な結論が得られた.1.中立粒子運動の3次元ビデオ解析・砕波時の混入気泡の影響を低減するため中立粒子に蛍光塗料を塗布しブラックライトを照射しビデオカメラを2次元水槽の上面及び側面からから撮影する3次元水粒子追跡実験方法を提案した.・統計解析及びwavelet解析により,砕波時にはほぼ2次元的であった流体運動が砕波過程を通して3次元性が強化され,2次元的な運動エネルギーが徐々にスケールダウンすることが明らかになった.・同様な解析により,水平及び鉛直方向に方向性をもつエネルギーが水深が浅くなるにつれ方向性を失うことが明らかになった.2.3次元Large Eddy Simulation・低レイノルズ数補正を行った高精度数値計算法を適用したLarge Eddy Simulationにより初めて砕波後の3次元流速場の数値的再現に成功した.・砕波ジェット着水直後に水平ローラー渦だけでなく縦渦及び旋回渦が生成されることが明らかになった.・生成された大規模渦整構造は,ボア領域において崩れ,発達した乱流に遷移する.この渦は戻り流れによって沖側に移流され次の砕波の3次元流速構造に大きな影響を与える.・砕波点近傍に移流された渦塊は連続する砕波に影響を与え,流速場及び水面形の3次元化を促進させる.この渦塊は砕波が繰り返されると共に強化されるので,徐々にジェットの着水以前に水面形が3次元化する.・計算領域にマーカーを配置し移流させることによって水粒子を追跡した.砕波フロント背後において斜め後方に軸を持つ渦を発見した.この渦は過去に実験的に気泡追跡によってのみ確認されている斜行渦の軌道と酷似しており,我々の発見した渦は斜行渦であると特定した.3.ビデオ解析による流体運動の3次元性に関する実験及び現地観測・実験水槽及び現地に水中カメラを固定し,混入気泡の映像から流体運動の3次元性を調べた.波の進行と直角方向に不規則な間隔で発生する発達した雲状の気泡が確認された.
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