外国人小学生の日本語習得過程を観察していくと、会話の上達と反比例して教科学習における日本語の不十分さがめだってくる。教科学習に追い付いていく読解力、語彙力がネイティブのレベルに達するのには平均4〜5年かかると言われている。それを短期間で達成するために、教科学習と日本語教育に焦点をあて、社会科の教科教育という学習内容を中心とした日本語教育及び教科教育のために、小学校3、4、5年生の教科書に現れている語彙と表現の出現頻度と、日本語能力試験及び児童用日本語教科書との関係を調べた。日本語能力試験との関係では最もやさしい4級レベルのものが最も多く、次いで多いのが3級レベルであるが、高度の2級、1級レベルの語彙表現も見られ、特に名詞には頻出している。児童用の日本語教科書との関係については、社会科の教科書の出現頻度の高い語彙と文型が網羅されているものと、ほとんど提出されていないものがある。児童用の日本語教科書の学習と並行して、社会科教科書の理解のための語彙・文型の指導、さらには社会科の学習内容を通じた日本語学習が必要であると考えられる。
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