研究概要 |
本研究では,次世代型配電システムFRIENDSを実現する上で中核となる電力改質センター(QCC)に着目し,その実用化のための検討を行ってきた。得られた知見を以下に要約する。 1.QCC高圧側とネットワーク線路との接続形態に関する比較検討を行い,各方式の特徴を明らかにした。 2.柔軟なネットワーク構成を実現するための系統切替方式に関する検討を行い,「サイリ・スタ独立切替方式」,「低圧側の無停電電源(UPS)を積極的に利用した切替方式」を新たに提案した。特に後者は,切替前後の系統の電圧の大きさや位相,負荷の状態に依らないことを明らかにした。 3.UPS型の内部構成において,交直変換器(PWM)の交流側電圧の振幅と位相とを三相独立制御することにより,三相不平衡による影響を補償する手法を開発した。 4.負荷変動を変化の速い成分と緩やかな成分とに分け,各成分に対してPWMと分散型貯蔵装置(DESS)が役割分担しつつ,協調制御を行う方式を開発した。 5.自然エネルギーシステムの電源としての容量価値を向上させるように,QCC内のDESSを協調運用する制御方式を4.の結果に基づいて開発した。 6.UPQC(Unified Power Quality Controller)型のQCC低圧側内部構成を提案し,UPS型と同様に高圧側の電圧変動に対しても波形劣化のない高品質な電力供給が可能であること,負荷側の高調波電流および三相不平衡電流に対しても上位系からは変動の少ない負荷のように見せることが可能であることを明らかにした。 7.直流配電の導入効果に関して,主に経済性の観点から,潜在的な直流負荷の割合に対する分散電源や変換器などのQCC内設備の必要容量,導入限界コストなどの算定手法を開発した。 8.各QCCを自律分散的に運用・制御させるための手法について検討を行い,マルチエージェントの概念が有望であることを確認した。
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