研究概要 |
本研究においては,アレーアンテナを容易に製造できるアンテナ素子および製造法の開発を目的として検討を行った.すなわち,キャビティ側面をワイヤにより構成することにより,電気的な特性を劣化させることなく,製造が容易にできるのではないかと考え,ポストにより側面を構成するアンテナ素子に関して提案および設計法を示し,アレーアンテナを構成した場合の設計結果の有効性について議論した. 初めに,ポストとして直径1mmの細径ワイヤ,給電素子として終端短絡プローブを利用し,アンテナ素子設計法を提案した.さらに,素子間相互結合量を増加させないことを目的として,ポスト間隔およびポスト径と素子間相互結合量の関係について検討し,その結果を示した. 次に,逆F素子給電ポスト側壁キャビティ付スロットアンテナの設計法を提案した.ポストとして一辺の長さが6mmの四角柱を利用することで,素子あたりポスト本数を8にできることを示した.解析結果から,素子単体の設計パラメータがアレーアンテナに対して適用できることを明らかにした.すなわち,アレーアンテナの素子間相互結合量の解析結果から,アレーアンテナにおけるアンテナ素子の入力特性の変化は許容できる範囲内であった.さらに,素子間相互結合量の評価結果から,給電素子と隣接する素子間の相互結合量がそれ以外の素子との結合量に比較して10dB以上大きいことから,給電素子とそれに隣接する素子との相互結合量についてのみ注目するだけでよいことを明らかにした.この結果に基づき,5×5素子アレーアンテナを試作し,数値解析結果の有効性と実験結果の妥当性を明らかにした.同時に,アレーアンテナの試作を通じて,大量生産に適したアンテナ製造法を提案し,その有効性を確認した. ただし,アレーアンテナの入力特性および素子間相互結合量の解析はスーパーコンピュータを利用して行った.
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