本研究はこれまで中国文学の傍系として扱われ、さほど注目を集めてこなかった台湾文学の、しかも日本植民地最末期の皇民化運動期の文学に焦点を当てた基礎資料の構築を目的としている。 今年度は昨年に引き続き、中島利郎が編集した『日拠時期台湾文学雑誌目録・人名索引』を基礎としながらも、それ以外の雑誌から文学関係記事を収集し、さらに充実したデータベースを作ることを大きな目標とした。 中島利郎索引の入力は完了し、植民地時代の文学作品を検索するツールとして、大いに役立っている。さらに植民地時代の新聞や雑誌からも、主要な小説のリストアップを行い、データの追加を行った。 なお今年度はこうした作業の中から、日本台湾学会第三回学術会議で、決戦期の台湾文学をめぐる報告に対するコメンテーターをつとめた。 また日本社会文学会が主催する第四回日台シンポジウム《近代日本と台湾》で、「台湾における沖縄人」と題する報告を行った。
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