視覚の空間情報の再現と視線運動の発現における前頭眼野と補足眼野領域の役割分担
Project/Area Number |
15016004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 菊郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70091486)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
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Keywords | 前頭眼野 / 補足眼野 / 滑動性眼球運動 / 輻輳運動 / 前庭 / 視線運動 / サル |
Research Abstract |
ゆっくり動く視標追跡に必須な滑動性眼球運動は、輻輳運動、さらに前庭入力と干渉しながら正確な眼球運動を行う。前頭葉には前頭眼野と補足眼野が滑動性眼球運動の制御に関わることが知られている。今回は訓練したニホンザルを対象とし、同一の視標追跡課題を用いて、補足眼野の滑動性眼球運動関連ニューロンの応答特性を調べ、前頭眼野と比較した。前庭回転刺激を用いて眼窩内眼球運動と空間内眼球(視線)運動を乖離させて比較すると、いずれの領域も前庭刺激により90%以上の滑動性眼球運動関連ニューロンが応答したが、視線信号は補足眼野では殆ど再現されていなかった(17% vs 66%)。視標の視覚刺激に応答するニューロンも、補足眼野では少なかった(20% vs 53%)。3次元空間での視標追跡課題を用い、応答ニューロンについて、輻輳運動と滑動性眼球運動を個別に調べると、両者に応答したのは27%であり前頭眼野(66%)より有意に少なかった。さらに、補足眼野の滑動性眼球運動記録領域をmuscimolにより不活性化すると、これらの視標追跡眼球あるいは視線運動は障害されなかった。以上の結果は、補足眼野には前庭情報と輻輳運動信号が再現されているが、単純な視標追跡課題においては前頭眼野と補足眼野の役割は調べられないことを示唆する。日常生活ではゆっくり動く視覚対象の追跡は、背景の視覚入力の制御を要求するので、第2の実験としてランダムドットの静止背景下で視標追跡視線運動を行わせ、この機能に対する補足眼野の役割を、その領域の不活性化により調べた。前頭眼野の不活性化では、背景の有無に拘わらず視標追跡が障害されたのに対し、補足眼野では背景が有る場合のみ、上向き視標追跡の障害と下向き前庭動眼反射の抑制不全が再現した。以上の結果は、視覚背景の制御を伴う視線運動制御に補足眼野が関わる可能性を示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)