研究分担者 |
矢沢 正士 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30001473)
平野 高司 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20208838)
王 秀峰 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (30301873)
鮫島 良次 農業技術研究機構, 北海道農業研究センター, 研究室長 (70355452)
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研究概要 |
静止気象衛星データから推定した日射量や地上気象観測データを入力することにより,コンピュータ上に広域にわたる作物生育の状況を再現する広域農業生産モデルの構築を目標として研究を行った。本研究は,新規に打上げられるMTSAT衛星の観測データを使用することを重点項目としたが,打上げ失敗等の影響で観測データが得られなかったため多少の方針転換を余儀なくされ,次の項目について研究した。(1)衛星データから求めた日射量とアメダス気象データの時別値メッシュデータを利用し,気象関係値推定モデルと作物生育モデルの結合によって,成育シミュレーションを行うことによる通常の技術水準における生育状況のマップ作成,(2)気象衛星データによる推定を外国へ適用するための基礎研究,(3)地上気象観測において観測点密度を高くすることによる農業生産に関する環境情報のモニタリングの精度向上,である。 各項目の成果は以下のとおりである。(1)衛星データによる日射量の推定については,GMS可視データによる陸域用の日射量推定モデルに改良を加え,日積算値のRMS誤差を低減できた。アメダスの気象値を1kmメッシュに拡張し,気温・風速・日照時間の空間分布を求め,作物生育モデルの入力値として用いることにより作物生育の状況を再現し,誤差は10a当り65kgとなった。(2)渇水が農業生産を圧迫している中国の黄河中下流域において,水消費に強い影響のある放射収支量と降水量を気象衛星データから推定する手法を適用し,良好な結果が得られた。(3)気象観測ロボット網のデータを利用することにより,250mメッシュで小麦成熟期予測マップを得ることができ,降霜確率に基づく作物の初霜害のリスクマップが作成できた。
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