研究課題/領域番号 |
16580156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | アオリイカ / 行動 / 自己認識 / 社会 / コミュニケーション / 頭足類 / 飼育 / 認知 |
研究概要 |
鏡に映る自分を認識する能力である「自己認識」は、ヒトを含む一部の大型類人猿とバンドウイルカにのみ認められる高度な知性であり、発達した社会性を背景に進化を通じて獲得されたと考えられている。本研究は、イカ類が発達した神経・感覚系および無脊椎動物最大の脳を有し、かつ、高度な記憶・学習能、発達した社会性をもつことに着目し、イカ類が自己認識を有しているとの発想にたち、水産重要種であるアオリイカを対象に、自己認識と社会性の発達に関わる以下の研究を行った。 初めに、自己認識検知のためマークテストを試みた。その結果、アオリイカは視認不能部位にマークが付けられると鏡の前で静止するという行動を示した。次に、アオリイカを隔離飼育し、隔離個体に鏡を提示して自己鏡像に対する行動を観察した。隔離個体は鏡面に対して一定の距離をフリーズする、または鏡に張り付くといった通常では見られない行動を表出した。これらの実験から、本種には自己認識の萌芽があり、それは同種他個体の存在という社会的要因に可逆的に影響を受けることが示唆された。 次に、アオリイカ卵を育成し孵化個体を得、孵化後間もなくから孵化後約120日までの個体について、自己鏡映像へのタッチ行動発現の過程を記録した。その結果、アオリイカは孵化直後から鏡に接近して鏡面を滑るように腕先端でかすかに触る行動が見られた。孵化後30日には成体同様に鏡面に対して明確に定位する個体が認められた,成体期におけるタッチ行動に比べるとその頻度は低かった。孵化後50日以降では、タッチ行動を示す個体の数も増え、個体によっては成体期と同レベルの頻度を示すものも見られた。以上の観察から、アオリイカにおける自己鏡映像へのタッチ行動は、孵化直後から認められるものの、それは孵化後の生育に伴いより顕著になっていく過程であり、類人猿における鏡像自己認識と類似する点が認められることが明らかになった。
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