研究概要 |
ユビキタス環境実現のキーデバイスの一つとして無線タグあるいはRFIDタグ(Radio Frequency Identification)が注目されている.本研究では,RFID用アンテナの小型化・高効率化を目的として検討を行っている.開発する小型高効率アンテナについて,計算機シミュレーションおよび実験の両面から検討し,さらに時間領域電磁界解析(FDTD)法を用いた仮想電波伝搬環境を実現し,アンテナ設計および伝搬特性評価を行った.(1)アクティブRFID用のアンテナ素子として,背面に地板を有するメアンダ状ダイポールアンテナ(以下MDA)の検討を行った.背面に地板を有し,線路上に装荷されたアクティブ素子によりアンテナ特性を適切に制御する小型平面アンテナの開発を行った。開発したアンテナは,金属板等に貼り付けた場合でも十分な利得を有しておりタグの読取精度向上とRFID適用領域の拡大を実現するものである.(2)現行RFIDタグの運用において最も重要な課題となっていることが読み取り誤差の極小化である.タグとRFIDリーダ/ライタ間において確実な送受信を実現するためには,周囲環境を評価に含めたアンテナデザインツールの開発が不可欠である.そこで,RFIDタグおよび読み取り機が存在する実空間を評価するための電磁界解析ツールを開発した.開発した大規模電磁界解析手法を用い,RFIDタグとリーダ/ライタ間の通信を仮定したより精度の高い伝播特性評価を行った.人体等に代表される損失性媒質がアンテナ近傍にある場合,あるいは導体壁に囲まれた領域内で使用する場合などの実使用環境に近い伝搬モデルを大型計算機の中に再現し,RFIDタグとリーダ/ライタ間の通信特性を明らかにした.さらに,開発した電磁界解析ツールを用いてリーダ/ライタによる医療機器への干渉影響等の電磁環境適合性の評価を行っている.
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