研究課題
特定領域研究
シャペロニンGroELは2層のリングからなるタンパク質のフォールディングを助けるナノマシンである。微小管上を動くモータータンパク質であるキネシンとは機能が異なるが、GroELとキネシンの作用機構は思いの外、類似点がある。まず、GroELはATPによって大きく構造変化をするが、その構造変化のようすがモーター蛋白質と類似と考えられることがある。また、双頭キネシンが二つのヘッドを交互に動かしながら進んでいくように、GroELは二つのリングを交互にアクティブにしながら蛋白質のフォールディングを助ける。そのGroELの二つのリング間に仮想的にリンカーをつなげて横に並べてみる。すると、現在のGroELの作用機構サイクルはキネシンのそれと非常に似ていることがわかる。そこで、本研究ではGroELのダブルリングの意味を探りつつ、キネシンとGroELの作用機構を比較することで両蛋白質の理解を深めることを目的とする。18年度はこれまでの結果を踏まえて、GroELの2つのリングでどのようにタンパク質のフォールディングが進行しているのか詳細に調べた。GroELのATP加水分解活性が極端に落ちる変異体D398Aなどを用いることにより、GroELの二つのリングそれぞれに基質となる変性タンパク質が結合しながらGroELのATPaseサイクルが進行することが明らかとなった。これは2つのリング間での協同性に関しての新しい知見となる。
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