研究課題
基盤研究(C)
17年度は、フランス語の文献を中心に資料の収集を行い、基礎理論の構成要素となる論点を整理した。また並行して、これまでの研究成果を再検討した。18年度は、引き続き資料の収集を継続するとともに、9月には民主主義をテーマとしたフランスでのシンポジウムに参加し、報告を行うとともに日仏双方の憲法研究者と意見交換を行った。これらを通じ、基礎理論の骨格部分についての基本的な分析視角を析出し、試論の構築を試みた。19年度は、過去2年間の研究の蓄積を踏まえ、具体的な成果のまとめを行った。まず、杉原泰雄・一橋大学名誉教授との共著『憲法と議会制度』において、等質性と多様性という2つの原理の交錯点に国会制度を位置づけ、議会制を通じた「民意の徹底した反映」の可能性を、多面的に探った。多元性の合理化を論じた代表の基礎理論に関する第2章、政治的平等・代表の社会学化・政党・選挙制度・二院制などをあつかった第3章は、研究課題についての一応の解答を体系的に提示したものである。また、年度後半に公刊した「議院内閣制の基本構造」では、議院内閣制をめぐる法制度の改革や運用の変化、さらには従来十分に意識されることのなかった「強い参議院」の顕在化、といったアクチュアルな問題状況を踏まえ、政府の責任という議院内閣制の本質的要素を手がかりに、議会制、とりわけ二院制が、多様な民意の統合に果たす役割を論じている。以上のように、近時の日本の議会制をめぐる問題状況をも踏まえつつ、社会的多様性と政治統合に関する代表の基礎理論の構築という研究課題に対し、なお過渡的なものではあるが、一応の解答を提示し、今後の研究の発展の上でも、なお不十分なものながら、一つの足がかりを築くことができたのではないかと考えている。
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