研究課題/領域番号 |
17570027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
島田 卓哉 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (10353723)
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研究分担者 |
大澤 朗 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (10253189)
齊藤 隆 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (00183814)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | タンニン / 堅果 / タンニン結合性唾液タンパク質 / タンナーゼ産生細菌 / 動物植物相互作用 / 馴化 / タンニン防御メカニズム / 種子散布 / 動物-植物相互作用 / コナラ属 / アカネズミ / タンナーゼ産生腸内細菌 |
研究概要 |
堅果(コナラ属樹木の種子)は森林に生息する動物の重要な資源であるが、タンニンを高い含有率で含み、摂食した動物に消化管の損傷や臓器不全といった有害な効果を及ぼす。本研究では、秋期から冬期にかけて堅果に強く依存するアカネズミが、どのようなメカニズムによって堅果中のタンニンを無害化し利用しているのかを明らかにするために、タンニンに対する生理的な馴化及び選択的採食行動に着目して研究を行った。はじめに、タンニンに対する馴化に関わると考えられる二つの要因(タンナーゼ産生細菌及びタンニン結合性唾液タンパク質)について検討を行った。アカネズミの糞便中からタンナーゼ産生細菌の検出を試みたところ、齧歯類では初めてこの腸内細菌群が確認された。また、タンニン結合性唾液タンパク質をアカネズミが高いレベルで分泌していることが明らかになった。馴化の効果を検証するために、アカネズミ2群(タンニン馴化群と非馴化群)を用いミズナラ堅果の供餌実験を行ったところ、馴化群においては著しいタンニンによる負の効果の低減が認められた.唾液タンパク質を多く産生しタンナーゼ産生細菌を多く持つアカネズミほど、体重減少が小さく、タンニンによる負の効果を効果的に克服していることが判明した。以上の結果から、タンニンを無害化する上で馴化が効果を持つこと、そして馴化の確立にはタンニン結合性唾液タンパク質とタンナーゼ産生細菌が関与していることが明らかになった。さらに、アカネズミはタンニン含有率の低い堅果部位を摂食し、高い部位は食べのこすという選択的な採食行動を行うことを明らかにした。以上の生理的及び行動的なメカニズムによって、アカネズミはタンニンを多量に含む堅果であっても効率的に利用でき、重要な種子散布者/捕食者として機能しているものと考えられる。
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