研究課題
基盤研究(C)
本研究では、水産物に特徴的なカロテノイドや高度不飽和脂肪酸に着目し、肥満形成と密接な関わりを持つ脂肪細胞のライフサイクル制御機能に焦点を絞り検討した。マウス由来の前駆脂肪細胞3T3-L1を用いて、脂肪細胞への分化を抑制する物質の探索を行った結果、食用海藻であるワカメやコンブなどに含まれるフコキサンチンが、分化過程で誘導されるグリセロール-3-リン酸脱水素酵素(GPDH)活性や細胞内の脂肪蓄積を顕著に抑制することを見出した。更に、フコキサンチンを経口投与したマウスの白色脂肪組織で検出されたフコキサンチノールにおいても、同様の分化抑制能を示すことを明らかにした。その際、フコキサンチン及びフコキサンチノールは、脂肪細胞への分化の過程でマスターレギュレーターとして働くPPARγの発現を抑制することを見出した。また、フコキサンチンは、肥大化した脂肪細胞で過剰に発現しインスリン抵抗性を引き起こすTNFαの遺伝子発現を顕著に抑制するとともに、糖尿病肥満マウスの血糖値の改善効果を示した。これらの結果は、フコキサンチンが脂肪細胞のライフサイクルを制御することによって、白色脂肪組織の機能を改善することを示唆するものである。一方、水産脂質に特徴的なドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)も、3T3-L1細胞やラットより分離した初代脂肪細胞の分化をPPARγやC/EBPαの発現抑制を介して抑制することを見出した。また、有効性を明らかにしたDHAやEPAを含有する魚油とフコキサンチンを併用することで、糖尿病肥満マウスの内臓脂肪の増大をより効果的に抑制できることを見出した。以上の結果は、フコキサンチンやDHA、EPAが脂肪細胞のライフサイクル制御能を有し、肥満予防への利用が期待できる新たな水産成分であることを示唆するものである。
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