研究課題/領域番号 |
17580263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 独立行政法人農業技術研究機構 |
研究代表者 |
高橋 昌志 農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・暖地温暖化研究チーム, 上席研究員 (10343964)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,810千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 牛初期胚 / RNA干渉 / 遺伝子発現 / 牛 / 初期胚 / 発生 |
研究概要 |
家畜初期胚における遺伝子発現を中心として卵子成熟、初期発生に関わる機能的および時期特異的に発現する遺伝子についてRNA干渉(RNAi)により特異的発現制御を行うための効果的な阻害手法の確立と、その制御による機能的遺伝子の果たす役割について解明することを目的とした。 (1)遺伝子阻害対象として、RNA干渉作用に重要な役割を果たすDicer遺伝子のヘリカーゼドメイン領域配列に対するsiRNAを合成し、牛卵丘細胞及び卵管上皮細胞の体外培養系を使っての阻害効果を確認した。その結果、250pM濃度での導入条件下で24時間後のDicer発現は有意に低下した。また、卵丘細胞培養系を用いて、PGF2a合成酵素であるCox-2の抑制効果についても解析を行った。その結果、従来報告されていた有効濃度よりも低濃度かつ、短期間(6-12時間)でのCox-2遺伝子発現抑制効果が見られたと共に培養液中に分泌されたPGF2aの低下が確認された。牛胚へのDicer、siRNA導入による作用の確認を行った共に、牛胚の発生過程におけるDicer遺伝子動態も伴せて検出を行った。成熟卵子、受精後2日、4日目胚、及び8日目胚盤胞期胚を通してDicer遺伝子の発現が検出され、4日目での減少傾向が観察された。牛1細胞期胚へのDicer siRNA導入48時間後には、DicerのmRNAおよびタンパク質の現象が観察され、牛胚においても内因性遺伝子へのRNA干渉の有効性が確認された。しかし、胚発生への影響は確認されなかった (2)初期胚へのRNA干渉を行う際の問題点としてあげられる導入後の抑制持続時間の限界及び、発生が進み細胞数が増加した時期への導入を解決する手法として、胚への化学的導入の有効性について蛍光標識siRNAをマーカーとして検討した。その結果、透明帯存在下の胚ではリポフェクション試薬の吸着により胚に届かないことが明らかになった。そこで、透明帯を除去することで、毒性もなく発生の進んだ胚への導入が可能であった。しかし、透明帯除去により割球の立体構造が弱くなることで起こる分割初期胚の発生率低下の防止が今後の課題となった。実際にdicer siRNAを化学導入したところ、発現が抑制された。以上の結果から、リポフェクション法によるsiRNAの化学的導入手法が確立でき、内因性遺伝子発現に対しても有効であることが確認された。本研究結果より、従来1細胞期胚への顕微注入が唯一主要な導入手法であったRNA干渉実験系が、発生の進んだ胚にも有効であることが示された。
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