配分額 *注記 |
30,290千円 (直接経費: 23,300千円、間接経費: 6,990千円)
2007年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2006年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2005年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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研究概要 |
細胞膜脂質二重膜における脂質の外層と内層の組成は異なっており(脂質非対称),ホスファチジルコリンや複合スフィンゴ脂質は外層に存在する。一方,他のグリセロリン脂質は内層に偏っている。近年,この脂質非対称の維持が生体機能に重要であることが明らかとなってきた。我々は以前,酵母においてスフィンゴイド塩基トランスロカーゼRsb1を同定し,この発現がグリセロリン脂質非対称変化により誘導されることを見出した。こめことはグリセロリン脂質の非対称変化を感知するセンサー蛋白質と下流シグナル伝達経路の存在を示唆していた。我々は,本研究において実際にそのシグナル伝達経路としてRim経路を同定することに成功した。この経路は培地中のアルカリや電荷に応答することが報告されており,脂質非対称変化により外層に露出した酸性リン脂質の電荷をRim経路の最上流に位置して細胞膜受容体として考えられているRim21あるいはDfg16が感知していると推定される。本年度はこれらの経路とRsb1発現上昇の関係を詳細に検討し,Rsb1の発現上昇が転写レベルで制御されている事をレポーターアッセイにより定量的に示した。また,脂質非対称変化が実際にRim経路を活性化することを最下流因子Rim101のプロセッシングを指標にして明らかにした。さらに,小胞輸送,細胞壁合成,脂質合成などの異常による間接的な影響でRim経路が活性化しているわけではないことをそれらに関わる変異株を用いて明らかにした。これらの成果が認めちれ,Mo1. Biol. Cellに公表が決定している。 一方,セラミドの非対称を制御する因子と予測されたPhs1は,その後の解析から極長鎖脂肪酸の合成に関わることが明らかとなった。酵母セラミドは極長鎖脂肪酸から構成されており,極長鎖脂肪酸合成不全が間接的に酵母スフィンゴ脂質の代謝,輸送に影響を与えている事を明らかにした。
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