研究課題
特定領域研究
多施設共同の大規模なコホート研究Japan Collaborative Cohort Study(JACC Study)【1988年から90年に40-79歳の男女約11万人を対象に開始】の追跡を行い、ベースラインデータ、中間調査データなど基礎となる情報に死亡・転出・がん罹患(追跡調査)データをマージし、解析用データセットを作成した。2003年までの死亡追跡により、食道がんは203例、卵巣がんは89例、腎がん(腎盂も含む)93例、骨髄性白血病87例などとなっている。また、2001年までの罹患数は食道がん99例、子宮体がん69例、卵巣がん48例、腎がん(腎盂も含む)79例、甲状腺がん118例、多発性骨髄腫31例などである(罹患把握地域が限定されているため、死亡数に比べ数が少ない)。今年度の成果として、口腔・咽頭がんのリスクは喫煙により男性で2.6倍、女性で8.2倍増加すること、飲酒は1日当たり2合以上の場合に男性で3.2倍のリスク上昇と関連することが明らかとなった。一方で、緑茶飲用は口腔がんのリスク低下と関連し、特に女性で1日5杯以上飲む群は1日1杯未満群とくらベリスクが0.31倍に低下していた。緑茶を飲む習慣のある日本でこのような成果の出た意義は大きい。卵巣がん死亡といくつかの生活習慣との関連を検討したところ、肥満、妊娠・出産経験のないことが危険要因として、運動習慣、豆腐摂取が予防要因としてはたらいている可能性が示唆された。また、腎がんの検討では、糖尿病が腎がんのリスクを上げる可能性が認められた。さらに続けて詳細な検討が必要と考えている。今年度は死亡追加のため総務省に人口動態統計資料の目的外利用申請を行い、平成20年に入って承認を得た。現在、申請書に従い各地区で死亡・転出を調査中である。なお、各施設と事務局との情報のやり取りには個人識別情報は外してIDを用いている。
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