研究概要 |
インターネットのトラフィックは急激に質的変化を遂げており,利用者に対するネットワーク状況のわかり易い情報提供が求められている。本研究の目的は,トラフィックの特徴データをメタファによって可視化することにより,ネットワーク利用状況に関する視覚的情報提供を行うことである。 はじめに,子供のインターネット利用を保護者がリモート監視する状況を想定し,パケットキャプチャ及びアクセス傾向分析機能を有するホスト型ネットワーク利用監視システムを開発した。評価実験の結果,子供のプライバシーに配慮しつつ,実用上問題のない処理時間でトラフィックの特徴抽出が可能であることがわかった。次にネットワーク型の利用監視システムとして,測地ドーム上に定義された球面自己組織化マップのモデルを構築し,IPアドレスで識別されるホストをデータ点とするクラスタ(類似したトラフィックパターンを有するホストの集団)の自律形成過程をハイパーオブジェクトの視覚的な形状変形に反映させる3次元形状モデルと実験システムを開発した。このシステムに対して実際のネットワークから抽出したトラフィックデータを与え,ハイパーオブジェクトによる可視化を行った結果,可視化対象ドメインのネットワークがホスト100台程度の場合には,実用上問題のない処理時間で可視化を行うことができた。ホスト台数が多い場合には,自己組織化マップによる学習時間が増大し,追従性に問題を生じる可能性があるため,整合ノード探索高速化法を検討し,大規模ネットワークに対するハイパーオブジェクト適用に関する知見を得ることができた。
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