研究概要 |
本研究では,ロボットによる物体のマニピュレーションの問題を扱っている.物体を把持した状態での操りと,物体を把持せずに,押す・転がすなどしての操り(グラスプレス・マニピュレーションと呼ばれる)を統一的に計画・実行できる手法を開発することで,把持状態・非把持状態の間を巧みに遷移させながら,人間のように器用な操りを行う能力を,ロボット上で実現させることを目的としている. 今年度は,把持・非把持状態の双方に適用可能な,多指ハンドによる物体拘束のロバスト性を評価する手法を開発した.これは,外乱に対して拘束がどれくらいまで耐えられるかを定量的に評価するものであり,これまでに開発した不静定接触力の計算法を利用して,線形計画問題を繰り返し解くことによって評価値を得ることができる. また,この評価指標を利用して,多指ハンドによる物体拘束の計画アルゴリズムを開発した.具体的には,評価指標の値が最も大きくなる拘束方法を探索することによって,(準)最適な指配置を決定する,というものである.ただし,評価指標の計算コストが大きいため,緩和問題を利用して計算量を軽減する手法を合わせて開発した.このアルゴリズムを把持計画ソフトウェアの「Grasp It!」を改造して実装した結果,マグカップや直方体を対象物体として,把持による物体拘束だけでなく,テーブルの上に物体を押しつける,といった非把持の物体拘束も自動計画できることを確認した.
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