研究概要 |
携帯端末(PDA、携帯電話等)やセンシングデバイスの普及により、いつでもどこでも大量の情報にアクセスできるユビキタスコンピューティング環境の整備が進んでいる。しかし、現在の携帯端末は、(1)画面が小さく、従来のコンピュータに比べ、提示できる情報量が少ない(情報提示の問題)、(2)入力キーが少なく、入力手法が限定されている(入力の問題)等、ヒューマンインタフェイス(HI)の問題が指摘されている。そこで筆者らのグループは、本科研費研究にて、携帯型プロジェクタを用いることによる情報提示およびインタラクションのための新しい技術に関する研究を行っている。 本年度は、(a)任意平面への投影の際の実時間での適応的な障害物回避と画像補正、(b)Mobile Display Based Manipulation (MDM)のテーマで研究を進めた。「任意平面への投影の際の実時間での適応的な障害物回避と画像補正」では、プロジェクタを携帯型にすることで、生じる画像の歪みを補正する手法、および表示の妨げになる物体を避けつつ適切な領域に投影する手法を昨年度までに提案した。その成果を基に、今年度は障害物となる複数物体の実時間トラッキング手法を導入することで、実世界での利用に向けてのよりロバストなシステムの設計と開発を行った。一方のMDMは、単機能ロボットに対する直感的な操作を行う手法である. 提案手法は, 拡張現実感技術によりロボットとロボットへの指示情報とを重ね合わる. ユーザは, それを見ながらモバイルディスプレイ自体を動かすことで, ロボットを操作する. モバイルディスプレイの動きにより仮想世界を操作する既存の研究とは異なり, モバイルディスプレイの動きを現実世界のロボットの操作に利用する. また, 現実世界に情報を付加するだけでなく, 仮想世界の情報に従って現実世界のロボットの状態を変化させるという点で, 従来のモバイルデバイスを用いた拡張現実感システムとは大きく異なる, MDMの手法をエンタテインメント応用や子どものストーリーテリングに活用し、その有用性を示すことができた。
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