配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2010年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2009年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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研究概要 |
充填スクッテルダイト化合物SmOs_4Sb_<12>はその電子比熱係数(γ=820mJ mol^<-1>K^<-2>)が30Tの高磁場下比熱測定に於いても磁場に依存せず増強されたままであることから,「磁場に鈍感な重い電子系」として注目されている.この電子比熱係数の磁場に対する堅牢性は従来型のスピン自由度に由来する磁気近藤効果の理論では説明できないため,4f電子の持つ電気多極子自由度に由来する多チャンネル近藤効果や,ゲストイオンの局所振動(局所電荷分布の自由度)と電子系の結合による新規多体効果などの新たな理論提案が活発に為されている. 本研究ではそのようなエキゾチックな多体効果の由来となる局所電荷自由度を実験的に観測できる超音波をプローブとして用い,新たにフラックス法で育成したSmOs_4Sb_<12>の単結晶に対して超音波精密測定を行った.その結果,横波弾性定数C_<44>は結晶場効果によるソフト化を示し,多体効果により低温で収束する振る舞いを示した.一方、縦波弾性定数C_<11>においてはエネルギーと時間スケールの異なる2つの超音波分散の観測に成功した.また新潟大学後藤研究室との共同研究でヘリウム3冷凍機を用いた磁場中極低温実験を行い,10Tの磁場下においてもその超音波分散が全く磁場の影響を受けないことを明らかにし,磁場に鈍感な重い電子系であるSmOs_4Sb_<12>のゲストSmイオンが,磁場依存しない局所非調和振動の自由度を有することを実験的に初めて証明した.超音波分散の現象論的解析からラットリングの活性エネルギーと特性時間を見積もり,それらとアインシュタイン温度,電子比熱係数γ等の系統変化に相関があることを指摘した.
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