既存の動学的金利期間構造モデルには無裁定条件の下で債券価格を解析的に導出するために必要な制約があり、これが金利の水準やボラティリティの予測力を低下させていた。本研究では、債券価格を近似的に導出する方法を援用することにより、制約のないモデル化を実現した。ボラティリティを金利水準の非線形関数とした提案モデルの予測力は、制約のある既存モデルのそれを大幅に上回るという成果を得た。さらに、提案モデルの予測値をGARCHなどの時系列データのみから組成した予測値と組み合わせることにより、後者のみを用いた場合よりも予測力が向上することを確かめた。
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