研究課題/領域番号 |
21870001
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岸田 治 北海道大学, 助教 (00545626)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,756千円 (直接経費: 2,120千円、間接経費: 636千円)
2010年度: 1,313千円 (直接経費: 1,010千円、間接経費: 303千円)
2009年度: 1,443千円 (直接経費: 1,110千円、間接経費: 333千円)
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キーワード | 表現型可塑性 / 捕食 / 形態変化 / 誘導防御 / 両生類 / 生態系機能 / メソコスム / 適応 |
研究概要 |
変化する生物群集のなかで生物個体は形質をどのように変えるのか?その結果として個体群や群集レベルでどのような帰結がもたらされるのか?個体の応答性と高次の生態学的要素との相互関係の理解は、表現型可塑性研究の新しいムーブメントである。平成21年度は、1.この未開の領域において優先的に取り組まれるべき課題を明らかにするため、捕食者-被食者系の表現型可塑性に関する最近の研究の論点と成果をまとめた。その結果、(1)3種以上の相互作用系での個体の形質変化、(2)複数の誘導形質間の発現・機能上の関係性、(3)捕食者の可塑性による相互作用強度の変更、(4)捕食者と被食者の対抗性とその生態学的な影響、等のトピックについての理解が不足していることがわかった。そこでこれらについて理論的・実証的に研究する方法を提案した(以上は、総説論文として、Population Ecology誌に公表した)。2.次にトピック(4)に関する理論的研究を行った。捕食者と被食者の対抗的な可塑性の進化動態と個体群動態を数学的にモデル化し解析したところ、被食者が効果的な防御をもつときに捕食者と被食者の対抗的な可塑性が共進化しやすく、2種の個体群動態が安定的に持続することが分かった。3.最後に、個体の可塑性の群集生態学的影響を定量的に評価するためのモデル実験系を確立した。報告者はこれまでに可塑性研究の有効なモデル系として、エゾサンショウウオ幼生とエゾアカガエル幼生の捕食者-被食者系を研究してきた。今年度は、2種の両棲類幼生と相互作用する節足動物種、(ミズムシやトビケラ)の生活史と生態機能について飼育実験により基礎的情報を得るとともに、節足動物種と両生類2種を含むモデル生態系を10リットルの水槽で長期的に成立させた。このモデル生態系を利用して、来年度以降、両生類幼生の表現型可塑性が生物群集と生態系機能に及ぼす影響を定量化する予定である。
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