研究課題/領域番号 |
21K19794
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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研究分担者 |
松井 淑恵 豊橋技術科学大学, 次世代半導体・センサ科学研究所, 教授 (10510034)
森勢 将雅 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (60510013)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 高齢難聴 / 模擬難聴 / 聴覚情報処理 / 聴覚モデル / 感情知覚 / 弁別実験 / 音声分析合成 / 音声モーフィング / 心理物理実験 / 音声分析合成系WORLD / 対人コミュニケーション / 認知症リスク / 感情伝達 / 音声信号処理 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会において、高齢難聴とそれに伴う対人コミュニケーションの低下は認知症リスクのきわめて高い要因となっている。この問題を解決し、より良き対人関係を築くための基盤として、お年寄りに「気持ち」(感情)を伝える際の音声の特徴や知覚特性の解明を試み、理論として定式化する難問に挑戦する。このため代表者らが開発してきた模擬難聴と音声モーフィング技術を用いて聴取実験を行い、その結果を聴覚認知モデルで説明できるようにする。さらに非常に手間のかかる音声モーフィングを自動化する革新的手法の開発を目指し、実験刺激音声作成や各種音声アプリケーションへの応用の可能性を広げる。
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研究成果の概要 |
音声モーフィングと模擬難聴処理を用いて、「怒り」、「悲しみ」、「幸せ」の3感情の間の組み合わせについて、若年健聴者、彼らが模擬難聴音を聞く場合、高齢者を対象として、感情弁別実験を行った。この結果、聴覚末梢系の高齢難聴聴力損失は、感情知覚に影響を与えないことがわかった。さらに、高齢者は、「怒り」、「悲しみ」が他の対よりも弁別が難しいという、新しい知見が得られた。また、今後の実験推進のためにも、音声自動モーフィングツールのプロトタイプ開発を行った。従来必要とされた音素系列情報を用いずに、従来法より良い音質のモーフィングができることを示した。今後の完全自動化への大きな前進となったと考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢者への音声伝達支援のために、補聴器が従来から用いられてきた。しかし、言語内容の伝達には役立つが、感情伝達の助けとはならない。一方、感情知覚研究に関しては、心理的な知見だけで、聴覚モデル化は意識されてこなかった。本研究により、聴覚モデル化も視野に入れた基礎的な実験な知見を得ることができた。これによりお年寄りに気持ちが十分伝わる新しい補聴アルゴリズムの可能性が出てきた。さらに、音声モーフィング完全自動化に向けた大きな前進もあった。これは、単に実験刺激作成にとどまらず、さまざまな音声合成技術に適用可能で、たとえばロボットと人間とのより良いインタラクションにも活用できると考えられる。
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