現象学的方法を法の分野に適用できるか。まず現象学的方法の、他の分野への応用例を検討した。医療、心理学、教育学などである。そして、現象学的方法は、非超越論的な仕方で拡張して解釈できるとの結論に至った。次に、感情が安定した合理的な情報を提供できるかどうかを現象学的に考察し、感情は一定の合理的側面をもつとの結論に至った。最後に、そのような感情の合理的な側面を、法の分野に活用する可能性を検討した。刑事裁判における被害者参加などの直接的な活用に加え、一般市民の感情を汲み取り考慮することで、司法改革が期待でき、法曹等の専門家と一般市民と感覚を架橋し、市民に支えられた法状態を実現できるとの結論に至った。
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