本研究の目的は,東京市立図書館(東京都立図書館の前身)の関東大震災前後の図書館構想やサービスの変化について,公文書や当時の新聞資料等を用いて考察することである。 東京市立図書館は1915年に組織改正を行い,東京市の緊縮財政方針に沿って運営経費を節減した。同時に図書館は図書館網を構築し新たなサービスを創出し,市民サービスの充実に成功した。関東大震災によって図書館は甚大な被害を受けたが,震災後に急速な復興を遂げた。その背景として,震災前に図書館が再び方針を変更し,図書館拡張計画の策定を開始していることが明らかになった。
|