研究課題/領域番号 |
63480102
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 昭夫 (佐藤、昭夫 アキオ) (財)東京都老人総合研究所, 生理学部, 部長 (60072980)
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研究分担者 |
稲波 修 (財)東京都老人総合研究所, 生理学部, 研究員 (10193559)
佐藤 優子 (財)東京都老人総合研究所, 生理学部, 主任研究員 (10072985)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1989年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1988年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 大脳皮質血流 / マイネルト核 / 脳局所血流 / 電気刺激 / 中隔-海馬系 / 麻酔ラット / コリン作動性線維 / 中隔ー海馬系 / 前脳基底核 / 化学刺激 |
研究概要 |
マイネルトの基底核や中隔野に起始するコリン作動性線維は、それぞれ大脳皮質や海馬に投射しており、高齢者やアルツハイマ-患者において変成脱落していることが報告されているが、このコリン作動性線維の機能的意味については明らかにされていない。本研究は、マイネルト核と中隔野に起始するコリン作動性線維の大脳皮質および海馬の局所血流調節への関与及びその機序を検討することを目的とした。 人工呼吸下の麻酔ラットを用いて、脳局所血流の測定には、経時的に測定可能なレ-ザ-ドップラ-法あるいは脳の様々な部位の局所血流が同時に測定できるヨ-ドアンチピリン法を用いた。一側のマイネルト核あるいは正中線に近接している中隔野を電気刺激あるいは化学刺激したところ、刺激と同側の大脳皮質局所血流あるいは両側海馬の局所血流がそれぞれ増加した。しかし、刺激中その他の部位では有意な血液の増加は見られなかった。これらのマイネルト核や中隔野刺激によって起こる大脳皮質や海馬の血流増加反応は、いずれもアセチルコリン受容体遮断薬の静脈内投与によって著しく減弱した。また、大脳皮質ならびに海馬内の細胞外液中のアセチルコリンを微小透析法によって測定したところ、それぞれマイネルト核刺激ならびに中隔野刺激によって増加した。 以上の事実から、マイネルト核から大脳皮質に、中隔野から海馬にそれぞれ投射するコリン作動性線維が興奮すると、大脳皮質と海馬にアセチルコリンを放出し、大脳皮質と海馬の局所の血管を拡張させて血流を増加させる機序が明らかにされた。コリン作動性神経による血管拡張としては、運動時に骨格筋を支配する交感神経コリン作動性血管拡張神経が活動して、骨格筋が収縮し易い状態を作り上げることが良く知られている。今回明らかにした頭蓋内コリン作動性神経による血管拡張はこの系と類似の脳の準備状態を作り上げる機能を持つと推測される。
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