2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590755
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 耕治 Tohoku University, 病院, 助教 (20400476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 義之 東北大学, 病院, 准教授 (70282126)
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Keywords | 脂肪酸 / TNF / NASH / 炎症 / 肝臓 / トランス脂肪酸 / インスリン抵抗性 / Kupffer細胞 |
Research Abstract |
【目的】我々はトランス脂肪酸高含有脂肪食がマウスに著明な脂肪肝を惹起することを報告した。トランス脂肪酸はNAFLD、NASHの病態形成のみならず、肝再生にKupffer細胞の関与が想定されており、今回、これに関連して病態生理の解明と、治療方法を検討する。【方法】コントロール油脂およびトランス脂肪酸高含有油脂を用いて作成した飼料を24週投与し、アディポカイン、サイトカイン等について評価した。Kupffer細胞(KC)をマウスより単離し、各種遊離脂肪酸による細胞毒性、サイトカイン産生能への影響および貪食能について検討した。【成績】高脂肪食では遊離脂肪酸濃度はコントロール食と比較し、有意に肝組織中TNFαmRNA発現が亢進しており、遊離脂肪酸濃度は高トランス脂肪酸食で高かった。血清中アディポネクチン濃度は高脂肪食で有意に低下し、レプチンは高脂肪高トランス脂肪食で増加していた。さらに肝組織のpAKT/AKT比の低下が認められ、肝組織におけるインスリン抵抗性が示唆された。KCに対する脂肪酸の影響では、長鎖飽和脂肪酸は細胞毒性を示したが、不飽和脂肪酸ではcis/transとも明らかな細胞毒性を示さず、特にトランス脂肪酸(C18:1,C18:2)はTNFαの産生を誘導した。IL-6はcis/trans間の差は認めなかった。KCによる貪食能はトランス脂肪酸添加で有意に低下した。PPAR δ ligand(GW0742)およびレチノイン酸は明らかな影響を認めなかったが、AICAR(5-aminoimidazole-4carboxiamide-1-β-D-ribofuranoside)はトランス脂肪酸によるTNFα産生を有意に抑制した。【結論】高脂肪食および特にトランス脂肪酸等、一部の脂肪酸はマウスにサイトカイン等の異常を惹起した。さらに門脈血中に高濃度に存在すると考えられる遊離脂肪酸は脂肪酸組成によって脂肪毒性、サイトカイン誘導性、さらに貪食能の阻害作用を示すことにより、KCの機能不全の原因となる可能性が示唆された。さらに、サイトカイン産生能など一部のKCの特性は薬物による治療標的になることが推察された。
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Research Products
(5 results)