Research Abstract |
平成23年度は,完全相補系列を用いた電子指紋方式,ステガノグラフィに関する研究に重心をおいた。 まず,電子指紋方式においては,結託攻撃が行なわれた場合の耐性について計算機実験で評価を行なった。検出時に原画像を参照するプライベート型と参照しないブラインド型の双方について検証した。結果として,適切なパラメータを選択することにより.従来法に比べ飛躍的に結託耐性を向上できることを示した。ブラインド型では,QIMと呼ばれる方式を導入し,結託耐性が向上できることを示した。 一方,ステガノグラフィについては,ブラインド型に注目し,多くの秘密情報を1枚の画像に埋め込む技術を提案した。さらに,与えられたパラメータ設定の下で,1枚の画像に埋め込むことができる最大の情報量を理論的に示した。計算機実験により,最大情報量に近いメッセージを埋め込んだ場合,検出時にビット誤りが生じることが示された。これに対し,誤り訂正符号の一つであるLDPCを導入し,ビット誤りを0にできることを示した。 また,利用者として高校生,高専生以下の学生を想定し,ゲーム感覚で情報ハイディングや提案技術について学ぶことができる教材を開発した。具体的には,画像に任意のメッセージを埋め込み,抽出を行なうアプリケーションや,透かし画像を劣化させることなく埋め込まれた秘密情報を取り除く攻撃ゲームアプリケーションを開発した。開発したアプリケーションは本校内でオープンキャンパスやセミナーの中で利用し,体験者に対してアンケート調査を行なうことでその効果を評価した。 研究で得られた成果は国際会議等で公表した他,年度末にワークショップを行ない,関連する研究者らと議論を行なった。
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