2013 Fiscal Year Research-status Report
高性能なスペクトル拡散型電子透かしを防災サイレンに応用した防災無線システムの開発
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24510240
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20293136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 定伸 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00321406)
松元 隆博 山口大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10304495)
田中 晶 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20578132)
土居 信数 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80547836)
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Keywords | 防災無線 / 防災サイレン / 情報ハイディング / 完全相補系列 / 同期補そく / M系列 / ビット誤り率 / スピーカ |
Research Abstract |
平成24年度に行なった検証結果に基づき,完全相補系列に基づく音声信号向け電子透かし方式の改良を行なった。特に,サイレン音に災害情報を埋め込み,スピーカから鳴動させた状況で正確に情報の抽出ができるよう,信号の同期方式の検討を行なった。検討の結果,音声信号の前にM系列を用いた同期用信号を繰り返し挿入し,相関関数のピークを検出することで同期捕そくを行なう方法を採用した。また,緊急音声放送に情報量の大きなメッセージを埋め込む,いわゆるステガノグラフィ技術を用いた場合の伝送特性についても,実際のスピーカを用いた環境下での検証を行なった。結果として,1~2Kビットの情報を同時に埋め込んでも,ビット誤り率をある程度低く保つことができることが示された。これらのビット誤りは適当な誤り訂正符号を用いて訂正することが可能であると考えられるが,これについては次年度の課題とする。 アンドロイド端末上で動作する受信用プログラムを開発し,実際にスピーカから鳴動させたステゴ音声から携帯端末を用いて埋め込まれた情報を抽出できることを示した。ただし,信号の同期に時間を要しているため,この点が次年度の課題として残された。 災害用ポータルサイトの作成とそこへ誘導するための埋め込み情報の作成,リモコンを改良した受信機の開発については,次年度への継続課題とすることとした。 東北地方の自治体の防災担当者などと打ち合わせを行ない,開発しているシステムを実用化する場合のシナリオについて検討を行なった。その結果,最終年度である次年度においては,体育館のような避難所や仮設住宅などで,災害やライフラインの復旧などに関する連絡を一斉に放送できるようなシステムとして実現することが重要であることが確認された。次年度は上記の継続課題を実現するとともに,自治体の求めに応じたシステム開発と検証を行なうことをめざすこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案した方式の特性について実際の環境下で実音声を使って検証し,評価を行なった点は極めて順調に進んでいる。現状でも,最終的な目的を達成するに値する特性を有していると考えられるが,今後,改良を加え,信号の抽出精度などを向上させる予定である。また,アンドロイド端末上のアプリケーション開発も順調に進み,実地実験までを終えることができた。一方,災害のポータルサイトへの誘導や,災害情報を抽出したうえでテレビのスイッチを入れることができるよう,リモコンを改良する方式などについては,次年度への継続課題となっているが,十分実現可能であると考えている。 以上のように,計画通りに進んでいる部分と計画よりも前倒しで進んでいる部分がある一方で,計画よりも遅れている要素もある。しかし,大きく研究計画を遅らせる必要があるほど,達成状況が遅れているわけではなく,おおむね順調に研究が遂行されているとい える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,体育館や仮設住宅での利用を想定して,スピーカを用いた実環境下における埋め込み情報の抽出精度を向上させるよう,提案するデータハイディング方式の改良を行なう。また,アンドロイド端末向けのプログラムにおいても処理速度および精度向上のための改良を行なう。精度の向上に際しては,適当な誤り訂正符号を導入し,その効果を検証する。 これまで継続課題としてきた災害ポータルサイトの作成とそのサイトへの誘導,およびサイレン音を受信するとテレビの電源がオンになる仕組みの実装を行なう。 さらに,自治体の防災担当者などを招いて成果報告会を行ない,体育館などの実環境でデモンストレーションを行なうほか,研究成果について国内外の研究会などで報告を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サイレン音を用いた情報抽出実験の検証として,自治体関係者や学外者などにデモンストレーションを見てもらい,打ち合わせを行なうため調査研究旅費を計上していたが,研究公表の出張と合わせて行うことができたため,当該旅費を節約することができた。また,リモコンを改良した受信機の作成に関しても,実際には開発に着手していないため,必要な物品の購入等も行なっていない。さらに,研究成果の公表については,学会発表等のみで,ジャーナル論文の投稿は行わなかったため,投稿料なども発生していない。 次年度は最終年度であり,論文投稿などの経費,国内外の会議での発表のための旅費に加え,自治体関係者を招いた報告会を開催することを計画しており,このための経費として旅費や謝金などが発生すると考えられる。さらに,リモコンを改良してテレビの電源を入れるシステムも平成26年度内の開発を計画しており,このための物品購入も行なう予定である。
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Research Products
(7 results)