Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
骨粗鬆症は国内の患者数が1300万人に達し、骨折の増加から寝たきりになるなどQOLの低下に直結する病気である。現在までに骨粗鬆症を予防・治療する薬物が開発されてきたが、骨吸収を抑制するだけでなく、骨産生を増強する薬物があれば併用することにより、より生理的な骨量の増加が期待される。骨粗鬆症を予防・治療する薬物の作用メカニズムは骨吸収の抑制と骨産生の増強である。更に、後者の詳細なメカニズムの解明のためには骨芽細胞の増殖・分化の制御メカニズムを詳細に解析する必要があるが、細胞膜の電位変化による増殖制御メカニズムは未だに明らかになっていない。また、骨芽細胞の様な非興奮性細胞が神経や心筋細胞の様な興奮性細胞と違って、膜電位変化の生理的意義が確立していない。本研究は骨芽細胞において、カルシウム依存性K+チャネルの一つであるIK (Intermediate-conductance Ca2+-activated K+)チャネルが細胞周期の開始を制御することにより細胞増殖しているのではないかと仮説を立てて研究を行うことにより、骨芽細胞の詳細な増殖メカニズムを明らかにすることを目的とした。昨年度、フローサイトメトリー法を用いた研究で骨芽細胞株であるMC3T3-E1の細胞周期を推定し、IKチャネルの活性化作用を持つ薬物を添加したものではS期の細胞の割合が増加することが明らかになっていた。その結果をもとに、patch-clamp法whole-cell modeを用いてS期の細胞の静止膜電位を計測し始めた。