司法面接における開示への動機づけを高める要因の研究
Project/Area Number |
19K03376
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
|
Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田中 晶子 四天王寺大学, 人文社会学部, 准教授 (10369689)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 真紀子 立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00172255)
安田 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (20437180)
上宮 愛 金沢大学, 人間科学系, 講師 (50555232)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 司法面接 / 動機づけ / ラポール形成 / 多機関連携 / 児童虐待 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,司法面接において被害体験があるにも関わらず非開示が生じるケースについて,①被害開示への動機づけの低さから非開示となるケースと,②被害開示への動機づけはあるものの, 被害について思い出したり,語ることができず非開示となるケースに大別し,それぞれの子どもの動機づけのありように即した働きかけを検討することを目的とする。これらの検討をふまえ,子どもの“話せなさ”について体系的に捉える枠組みを示し,実務家向けの非開示ケースへの対応ガイドライン(草案)を作成することを目標とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、司法面接において非開示が生じるケースを動機づけの観点から話さない(動機づけが低い)子どもと話せない(動機づけはあるが話すことができない)子どもに分けてとらえ,それぞれの子どものありように即した働きかけを検討することを目的とし,次の3項目について取り組むものである。 まず,動機づけの低い(話さない)被面接者を面接へと動機づける観点から,情報開示への動機づけと面接内でのラポール形成が,開示へ及ぼす影響についてRP版NICHDプロトコルを用いた模擬面接事例を用いて検証する(研究1)。次に,面接前のサポーティブな連携のための「子どもへの事前説明」の効果について探索的に検証する(研究2)。また,動機づけは高いが被害の報告ができない(話せない)子どもについて,トラウマ記憶研究における自伝的記憶の概括化の観点から先行研究をまとめ,非開示が生じる要因について明らかにする(研究3)。最後に,研究1から3の知見を踏まえ,国内の実務家に向けた「非開示への対処に関するガイドライン」の草案の作成を目指す。 今年度は、研究1に関して,引き続き,面接者の親近性や社会的サポートの効果に関して収集した文献をまとめレビュー論文の執筆を進めた。また,警察官を対象としたRP版プロトコルの効果について分析を進めている。研究2に関しては,サポーティブな連携のための「子どもへの事前説明」につき簡易なロールプレイを実施し,必要性と心理的効果につき評価を求めたデータについて分析に取りかかった。また,司法面接研究の知見をまとめた翻訳書が出版された。研究3に関しては,学会ワークショップを報告にまとめ投稿し,被害者支援領域の専門家との勉強会等へ参加し,知見の収集を行った。また司法関係者を対象としたオンライン心理学講座を企画・実施し(全4回),司法手続きにおける心身のケアとの連携について研究知見の提供を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた研究期間において,研究2,3は,司法面接と心身のケアの連携に関わる基礎研究と実践に関する書籍や面接研究の翻訳書の出版,被害者支援を専門とする研究者とのワークショップ報告における知見の収集,オンライン講座による司法関係者への知見の提供が実施でき,一定の成果報告や発信をすることができた。 一方,研究1については,面接者と子どもとの親近性や社会的サポートの効果に関する文献レビューは投稿にいたらず,2021年度に実施した調査結果をまとめ公表するにはいたらなかった。研究1が遅延した理由として,法改正の動きがある。法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会では,司法面接の録音録画記録を裁判で証拠(主尋問の代替)として用いることが可能かを検討し,その案が2022年3月に法案として国会に提出された。法案によれば,面接において「(一)供述者の年齢,心身の状態その他の特性に応じ,供述者の不安又は緊張を緩和すること」が,重要な要素となる。このことから,「供述者の不安又は緊張を緩和する」措置がどのような法的枠組みで可能なのか検討する必要があると考え,先進国である英国について調査し,振り返り,論文を執筆した。
|
Strategy for Future Research Activity |
延長申請を行った2023年度は,研究1について,これまで実施した調査結果をまとめ,学会発表・論文投稿の準備を行う。また執筆中のレビュー論文を投稿することを目指す。さらに,最終目標としているガイドライン(草案)作成につながるよう,研究知見の提供と収集を目的とする実務家との勉強会も実施する予定である。 これらの取り組みについては,現在検討が進められている司法面接の録音録画記録を裁判で証拠(主尋問の代替)として用いることに関する法制化の動きをふまえた知見の提供や実務的な提案を行うことをめざす。
|
Report
(4 results)
Research Products
(30 results)