研究課題/領域番号 |
19H01513
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
西村 雄志 関西大学, 経済学部, 教授 (10412420)
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研究分担者 |
石川 亮太 立命館大学, 経営学部, 教授 (00363416)
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
杉原 薫 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (60117950)
加藤 慶一郎 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (60267862)
鎮目 雅人 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80432558)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 決済システム / 中央銀行制度 / 在来金融 / 重層的決済システム / 中央銀行 / 通貨 / 重曹的決済システム / 近代銀行業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、経済活動における決済の役割について、各地の商慣習や文化の役割を意識しつつ、どのようにして決済がシステムとして各々の経済活動を支えるものとして成立したのか、研究代表者と研究分担者、そして海外の研究協力者とも協力して、比較史的観点から検討しようとするものである。その中でも特に近代銀行業の中核として認識されている中央銀行との関係に焦点をあて、中央銀行を導入することが決済システムの効率化と経済発展に不可欠と捉えている多くの先行研究に一定の修正を迫りたいと考える。その上で決済システムにおける中央銀行の役割について、現代的な問題関心から考察する時にも本研究の成果がその一助になればと考える。
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研究実績の概要 |
今年度に関しても、前年度と同様に新型コロナの感染拡大に伴い、研究会を対面で開催する事が叶わなかった。そのため研究分担者と研究協力者が集まって密に議論する機会を設けることが出来なかった。しかし、研究分担者と研究協力者は、それぞれの研究分野に関して継続して研究を続けており、さらに研究内容の実証性を高めることが出来た。 前年度は中央銀行制度と決済システムの関係性を中心に研究を進めた。特に先行研究がイングランド銀行の事例を軸に中央銀行制度の導入により、決済システムの統合と効率化が達成され、ひいては近代世界経済における経済活動の取引コストが低減され、世界経済の発展に貢献したと指摘する内容について、世界各地の事例分析から疑問を問いかけることが出来た。今年度はそれを更に深化させることに各研究分担者と研究協力者は注力した。 その結果、地域における決済システムの発展は、中央銀行制度の導入あるいは広義で言うところの近代銀行業の導入によって促されるのではなく、むしろ地域の経済慣習や文化等に根差した伝統的な決済のかたちを「再編」することによって達成される場合が多く、その「再編」過程と近代銀行業の導入が適切に組み合わさった時にはじめて、その地域の経済活動の発展に貢献する決済システムとして成立したと言える、と明らかになった。無論、各々の研究が全てこのようなかたちであったと言うのではない。むしろ先行研究の指摘するかたちで決済システムが成立した地域もある。加えて西アフリカのフランス領植民地の場合は、現地の決済システムと中央銀行制度を要とする近代銀行業が相互に連関性を構築することなく、緩やかな関係性の成立であった事例もあり、すべての事例を一元的に結論付けることは出来ないが、今年度の各研究分担者と研究協力者の研究結果を見る限り、地域における決済システムの重要性は維持されていたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの感染者数が増加し、それに伴って国内外の研究者との対面式の交流が容易に準備出来なかった事もあり、互いの研究内容に関する密な議論を行うことが出来なかった。オンラインでの研究会開催も模索したが、研究テーマの性質上、オンラインでは議論の盛り上がりが少なく、結果としてメールを介して、互いの研究内容について質問やコメントするかたちで落ち着いた。その過程では2022年度に延期されたパリで開催予定(ハイブリッド形式)の国際経済史会議において、各研究分担者の報告準備とセッション組織者が執筆する問題提起となるペーパーに対しては厳しいコメントも頂けており、本プロジェクトの研究内容的には些かなりとも前進はあったと感じられる。しかし、やはり研究分担者と研究協力者が互いに集いながら濃密な議論を展開出来なかった事のマイナスは拭えなかったと感じている。そのため研究全体の進捗としては「やや遅れている」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に開催予定であった国際経済史会議が延期され、2022年度の開催となったため、今年度は各研究分担者と研究協力者が国際経済史会議での発表のために更に深く研究を進める有益な時間としたい。そのため、各研究分担者と研究協力者は、各々の研究内容を再度精査し直し、互いにメールを介して議論を深めていくことにより、ペーパーの内容をより充実したものに出来ればと考えている。対面式での議論は未だ難しいと思われるが、これまでと同様、メールを介して互いにコメントや質問し合うことを介して、国際経済史会議におけるセッションとしての「まとまり」を見出していくことも合わせて進めていきたいと思う。
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