研究課題/領域番号 |
19K00064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
山口 しのぶ 東洋大学, 文学部, 教授 (70319226)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バリ・ヒンドゥー教 / Vedaparikrama / ヴェーダ・パリクラマ / Wedaparikrama / Balinese Hinduism / 通過儀礼 / Bayuh Oton / 聖水 / ヒンドゥー儀礼 / 人生儀礼 / バリ島 / バユ・オトン / シヴァ=ブッダ / Bali Hinduism / ヒンドゥー教 / 密教 / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はインドネシア、バリ島で信仰されるバリ・ヒンドゥー教の儀礼を対象とし、儀礼の現地調査および儀礼の際僧侶により使用されるサンスクリット儀軌の文献研究という両面から、儀礼の構造と特色を分析するものである。以上の分析を踏まえ、ヒンドゥー教や仏教などのインド伝統宗教がインドネシア、バリ島でどのように受容され、変容したか、またその変容の要因は何かを明らかにしようとする研究である。
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研究実績の概要 |
本研究は、インドネシア、バリ島のヒンドゥー教儀礼の構造と特色を明らかにするとともに、インドのヒンドゥー教および仏教のバリにおける受容と変容を現地調査と文献研究から考察することを目的としている。2020~2021年度は新型コロナウイルス感染症の流行のためバリでの現地調査ができない状況であったが、2022年度はインドネシアへの入国制限も緩和された。このため2022年12月24日から2023年1月1日までバリに出張した。現地では、①バリ・ヒンドゥー教史で重要な位置にあるSamuan Tiga寺院(ギャニャール県)における寺院建造物とヒンドゥー図像の映像資料収集、②現地のヒンドゥー僧および研究者への聞き取り調査を行った。②では、ヒンドゥー僧および研究者に、研究課題であるバユ・オトン儀礼で使用されるサンスクリット儀軌に関する疑問点を質問し、またヒンドゥー儀礼に関するディスカッションも行った。 文献研究においては、2020年度から行った上記サンスクリット儀軌Vedaparikramaの翻訳研究を継続した。2022年度は儀軌の中でも中核の部分であるSivikaranaの行為について、その構造と特色を考察した。Sivikaranaにおいて僧侶は瞑想により僧侶の身体にシヴァ神の精髄が入り、シヴァ神との一体感を得る。その後シヴァ神を象徴する種子(bijaksara)を僧侶の心臓に布置する。神格との一体感や布置はタントリズムに顕著な行為であり、本儀軌もタントラ的な要素を多く含むことが明らかとなった。この研究成果として『東洋思想文化』第10号に論文「バリ・ヒンドゥー教のサンスクリット儀軌Vedaparikrama(Wedaparikrama)―儀軌の概要および部分訳(2)」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度、21年度新型コロナウイルスのためにバリ島への出張が中止となったことにより、現地のヒンドゥー僧や研究者に十分な聞き取りを行えなかった。そのことが2022年度のバリへの渡航再開後も、いまだ影響をおよぼしていると考えられる。この間、主に文献研究を中心に研究を進めてきたが、これについても疑問点が多くある。特に儀軌のタントリズム的な要素と、バリでのシヴァ信仰の状況について今後現地での聞き取りが必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査が不十分であったことが進捗の遅れの最大の原因であるので、2023年度は2回の出張を行い、現地研究者およびヒンドゥー僧侶に十分な聞き取り調査を行っていきたい。文献研究においては、課題であったサンスクリット儀軌の内容把握と翻訳は一応終了したが、この課題に関しては、インドのシヴァ信仰との関連の考察を中心に、現地での聞き取りと文献調査を引き続き行う。本研究の中心課題であるバユ・オトン儀礼の構造分析に関しては、以上の聞き取り調査と文献研究により進めていきたい。また今後はさらに視点を広げ、「研究実績の概要」で述べたバリ・ヒンドゥー教において重要な寺院であるSamuan Tigaの調査も進め、バリ・ヒンドゥー教の歴史において、ヒンドゥー寺院がどのような機能を果たしてきたかについて考察を進めたい。この寺院研究はバリ・ヒンドゥー教のインド宗教の受容と変容に大いに寄与すると考えられる。
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