研究課題/領域番号 |
19K06554
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
渋谷 典広 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 准教授 (40466214)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 硫化水素 / 3MST / 神経膠芽腫 / フェロトーシス / 結合型硫黄 / 多硫化水素 / CAT / ミトコンドリア / 過硫化 / システイン / CBS / CSE / 過流化 / ポリサルファイド / 3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
硫化水素やポリサルファイド、過硫化システインなどの低分子型硫黄化合物は、反応性に富んだ硫黄原子を有しており、タンパク質を過硫化することで生理作用を発揮すると考えられる。本研究では、その作用メカニズムを解明することで、生理作用のみならず病態生理の観点からも低分子型硫黄化合物の役割を探る。
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研究実績の概要 |
本年度は従来までのマウスを用いた解析から培養細胞を用いた解析を中心に検討を進めた。大腸がんや卵巣がんでは、硫化水素の産生酵素の1つであるシスタチオニンβシンターゼ(CBS)の発現が増加しており、CBS由来の硫化水素産生ががん細胞におけるエネルギー産生の亢進と増殖に寄与しているとの報告がある。一方、同じく硫化水素の産生酵素である3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素(3MST)についてはがん細胞の増殖制御において不明点が多い。そこで、悪性度が高く予後不良の神経膠芽腫由来の細胞株を用いて3MSTによる硫化水素の産生ならびにその機能解析を進めた。異なる4種の神経膠芽腫細胞株を用いて結合型硫黄を測定したところ、いずれからも結合型硫黄が検出され、その存在量は3MSTの存在量と相関する傾向がみられた。仮に3MSTから産生される硫化水素ががん細胞の特性の1つである細胞死に対する抵抗性獲得に関与するのであれば、3MSTを欠損させることにより細胞死制御が変化するはずである。そこで、神経膠芽腫由来U-251MGを用いて3MST欠損型細胞を作成した。3MST欠損型細胞に対する鉄依存性細胞死フェロトーシスの誘導因子RSL3の影響を調べたところ、3MST欠損型細胞は野生型に比べてRSL3に対する抵抗性を獲得していた。この結果は、神経膠芽腫細胞では3MST由来の硫化水素が鉄依存性細胞死に対する抵抗性獲得において負に制御することを示唆している。正常細胞とは異なりがん細胞では自身の生存戦略の1つとして細胞死に対する抵抗を獲得しているが、3MST由来の硫化水素は神経膠芽腫における細胞死抵抗性の獲得を減弱化させている可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集技術を取り入れることで従来までのマウスを用いた解析から細胞培養を用いた解析へと研究対象を広げている。がん細胞における硫化水素の新たな役割を示唆する結果が得られており、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
現状では3MST欠損株の結合型硫黄含量の測定が不十分であることから、野生型および3MST欠損型の両者における結合型硫黄の定量解析を進める。鉄依存性細胞死フェロトーシスの誘導因子RSL3は過酸化物を消去するグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)の阻害剤であることから、3MST由来の硫化水素と神経膠芽腫における細胞死抵抗性の獲得に関するさらなる機能解明を目指し、GPX4の産生・調節を中心とした細胞死制御の解析を進める。
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