研究課題/領域番号 |
19K22447
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
佐々木 顕 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 教授 (90211937)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 環境の異質性 / メタ個体群 / 免疫逃避 / 毒性の進化 / 生きた化石 / 種分化のホットスポット / 形質分岐 / 集団構造 / 伝染病の数理モデル / 抗原変異株の出現 / 免疫からのエスケープ / 宿主空間構造の異質性 / 移動分散 / 最適防除政策 / 形質の分岐 / R0中心性 / 交通流動ネットワーク / 感染のクラスター / 空間構造の異質性 / 伝染病 / 防除政策 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
エボラ出血熱、デング熱、MARSなど世界各地で新興・再興伝染病が流行する度に、各国は自国への伝染病の侵入と拡大を防ぐ対策に追われている。しかし、空港等での検疫と隔離を中心とする従来の水際対策の効果は極めて限定的であり、感染者の検疫ゲート突破は不可避であると見越した防除戦略の確立が急務である。本研究では、伝染病の侵入を許してしまった大都市圏において、通勤制限・学校閉鎖等の経済的コストの伴う対策をどこにどの程度集中させれば、「ボヤ」の段階で流行を鎮火できるかを予測する「通勤ネットワーク上疫学動態のR0中心性理論」を発展させ、東京都市圏等での防除政策へ理論的指針を与える。
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研究成果の概要 |
異質な環境下の局所個体群が個体の移動によって結合したメタ個体群における伝染病の広がりや形質の進化を理解するために、R0中心性理論やメタ個体群侵入適応度理論を発展させることにより、(1)宿主免疫からの逃避を繰り返す病原体が強毒化する一般的傾向を持つこと、(2)メタ個体群における移動分散や生産力の不均一性が、病原体の毒性を必ず上昇させること、(3) ニッチ空間の中心から辺境に至る環境勾配のもとで適応進化する分類群の進化動態の解析により、ある分類群のニッチ空間の中心域での種分化のホットスポットが出現することや、ニッチ空間辺境において「生きた化石」種が必然的に出現することなどを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人間社会も野生生物の個体群の異質な環境のもとで複雑なネットワークで繋がっており、このような空間的異質性や結合の異質性が、伝染病の伝播や制圧、形質の進化にもたらす影響を解明することには大きな社会的要請がある。この理論研究により導入されたR0中心性やメタ個体群侵入適応度の概念は、多様で複雑な構造のもとでの流行や進化を解明する上でのブレークスルーとなりうる。この研究ですでに、「宿主個体群の異質性が病原体の毒性を必ず上昇させる」、「宿主集団の免疫力の異質性が病原体の免疫逃避速度を上昇させる」などの一般的で重要な理論的知見が得られている。
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