研究課題/領域番号 |
20H04403
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
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研究分担者 |
田中 貴 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20805436)
山口 哲由 北星学園大学, 経済学部, 准教授 (50447934)
鈴木 玲治 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (60378825)
中辻 享 甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 脱農業化 / 森林転換 / 東南アジア / 山地民 / 焼畑土地利用 / ラオス / ミャンマー / 生態資源 / シナリオ |
研究開始時の研究の概要 |
東南アジア大陸山地では、焼畑を主とする自給的農業が営まれてきた。しかし近年、非農部門へ生業が転換する脱農業化がすすんでいる。研究代表者らは、ミャンマーとラオスの2ケ村で土地利用変容を長期観測してきた。この2ケ村を林野と焼畑民との相互作用環の「長期大規模プロット」ととらえて、地元の人々と協働して地域研究の立場から、脱農業化と森林転換が進行する中で食糧自給力と生活環境をいかに保全して行くか、そのシナリオを提言し発信してゆきたい。村レベルで人の顔が見える調査から、東南アジア大陸山地における脱農業化とその影響による森林転換の実像を明らかにし、今後の農山村の持続的な発展と林野保全に寄与したいのである。
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研究実績の概要 |
脱農業化と森林転換の進展の実態をとらえ、さらに生態資源保全のシナリオを考える本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面し、研究代表者と分担者は主にzoomを利用して研究打ち合わせを進め、これまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。現地調査の目途が立たない中で、研究費繰越申請を行い渡航の機会を待っていたところ、2021年2月にミャンマーにおいて国軍が企図したクーデターが発生し、治安が悪化したため同国への渡航はさらに困難になり現在に至っている。 私たちの研究グループでは2001年からミャンマー・バゴー山地のS村で焼畑調査を継続してきた。英領期にカレン領域に指定されたS村では、カレンの人々が焼畑を営み、自給自足に近い生活を送ってきた。2011年にテインセイン政権が発足して以降、ミャンマーでは民主化と経済自由化の進展が期待されてきた。S村では依然として焼畑陸稲栽培が日々の生活を支える一方で、道路がよくなり、海外出稼ぎも始まった。ミャンマー周縁の森は、細い糸でしかし直接にグローバルネットワークにつながりだした。 これまで「焼畑」は、粗放な土地利用として改善・開発・転換の対象とされてきた。しかし新型コロナウイルス感染症を経験した世界で、森林と生物多様性の保全があらためて重要な課題として浮き上がってくると、焼畑システムと焼畑民の生活のありようは、「新生活様式」あるべきひとつの方向を示してくれると思う。ヒト・モノ・カネが行きかう濁流から抜け出すことのできないような相互依存に陥るのではなく、焼畑に軸足を置いて自給力を維持しつつ、グローバル/トランスナショナルな関係を主体的に結んでいける可能性があるのではないかと思い始めるようになった。その検討を現在すすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面し、研究代表者と分担者は主にzoomを利用して研究打ち合わせを進め、これまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。現地調査の目途が立たない中で、研究費繰越申請を行い渡航の機会を待っていたところ、2021年2月にミャンマーにおいて国軍が企図したクーデターが発生し、治安が悪化したため同国への渡航はさらに困難になり現在に至っている。 一方で、ラオスでは十分な用意と安全確認をおこなえば、現地調査は可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
ミャンマーへの渡航は、いつ実現できるのか見通しは立っていない。そこで本国に帰国することが困難となったミャンマー人留学生を科研費研究員として雇用し、これまでに蓄積したデータ整理と解析をすすめることにした。同時に、電話やインターネットを通じて、調査地との連絡を継続し、研究を進めている。 一方で、ラオスでは、十分な用意と安全確認をおこなえば現地調査は可能となったので、夏以降の現地調査を目指して、準備をすすめているところである。その一環として、2023年3月にコペンハーゲン大学Ole Mertz教授らとの研究会で今後の東南アジア大陸山地での脱農業化と森林転換に関する情報交換をおこなった。
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