研究課題/領域番号 |
20K01116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
田村 朋美 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (10570129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 植物灰ガラス / Sr同位体比 / 中央アジア / ガラス / 玉 / 産地 / 植物灰 / 同位体比 / 微量成分 / 同位体比分析 / 微量成分分析 |
研究開始時の研究の概要 |
日本列島では5世紀後半に西方起源と考えられる植物灰ガラスが突如出現し、6世紀にかけて大量に流通した。この時流入した植物灰ガラスは極めて多く、それまで流通の中心であったインド~東南アジア産のガラスに匹敵する。すなわち、日本列島への植物灰ガラスの大量流入は、交易ルートの中心が海路から陸路へ転換したことを示唆する。一方で、日本で出土する植物灰ガラスは、西アジア産の典型的な植物灰ガラスとは化学組成の特徴がやや異なる。本研究では、日本で出土する植物灰ガラスの具体的な生産地は一体どこなのか、そして、どのようなルートで流入したのか、という問題について同位体分析や超微量成分分析から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、従来の蛍光X線分析に加えて、同位体比分析および超微量成分分析を適用することで、東アジアで流通した植物灰ガラスの具体的な生産地を明らかにし、ユーラシア大陸おけるガラス交易に大きな変化をもたらした要因の解明を目指すものである。 本年度はカザフスタン、モンゴル、およびアフガニスタンから出土したガラス製遺物のSr同位体比分析を実施した。これらのうち、カザフスタンのカルカラ遺跡およびトルトバ遺跡出土のガラス玉は化学組成の特徴から地中海世界で生産された可能性が示された。そこで、これらのSr同位体比を測定した結果、87Sr/86Srが0.7088~0.7089で、概ね東地中海沿岸で出土するナトロンガラスと類似することが判明した。 一方、カザフスタンのサバ遺跡、モンゴルのザミーンウトゥグ遺跡およびアフガニスタンで表採したガラス製遺物は化学組成の特徴から植物灰をソーダ原料として用いた植物灰ガラスである。これらのSr同位体比を測定した結果、87Sr/86Srが0.7113~0.7157という相対的に高い同位体比を持つことが分かった。植物灰ガラスはシリアやイランなどの西アジア地域産のものが有名であるが、これら西アジアの植物灰ガラスの87Sr/86Srは、概ね0.7090よりも小さいことが知られている。一方、本研究で測定した資料はこれらよりも明らかに高いSr同位体比を持つことが判明した。植物灰ガラスは中央アジアでの生産も推定されており、本結果はそれを裏付ける貴重なデータとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全期間を通して、Covid-19の影響を受け、海外における調査および海外で出土したガラス製遺物の分析調査に困難が生じた。しかしながら、現地の連携研究者らの協力により、ウズベキスタン、カザフスタン、アフガニスタン、モンゴルなど内陸アジア各地で出土したガラス製遺物の分析を少数ながら実施することができた。 ただし、資料の入手に時間を要したため、分析調査の進捗がやや遅れている。また、当初分析成果を発表する予定であった学会等が延期になったため、成果報告がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は西アジア~中央アジア産の可能性が高いと考えられている植物灰ガラスについて、サンプル数を増やしてSr同位体比分析を実施する。最終年度である本年度は、中央アジアのウズベキスタンに所在する生産遺跡と考えられるパイケンド遺跡および周辺のオアシス都市遺跡で出土したガラス片についてSr同位体比分析を実施することで、中央アジアにおけるガラス生産の可能性について検討を深める。 並行して日本の古墳時代に出土するガラス玉のSr同位体比分析をおこない、日本出土の植物灰ガラスの起源が西アジアなのか中央アジアなのかについて一定の見通しを示す。 これまで実施した植物灰ガラスの蛍光X線分析および同位体比分析の結果について日本文化財科学会の学会誌に投稿し、本研究の成果とする。
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