研究課題
基盤研究(C)
まずは、下記①を行う。その後、下記②及び③を行い、さらなる詳細な解析のため、下記④を行う。最有力候補多型が複数同定された場合、今後の臨床応用に向けて簡便に多型判定が可能になるように、協力企業などと連携し、適宜遺伝子多型判定キットの開発を進める一方で、下記⑤を行う。① 臨床評価項目及びその評価方法の検討(2020年度② 網羅的遺伝子多型判定及び品質評価(2020年度③ 網羅的関連解析(2020~2021年度)④ 再現性検証(追加)解析・遺伝子間及び遺伝子-環境相互作用解析(2021~2022年度⑤ オピオイド鎮痛薬感受性・副作用脆弱性予測式の構築及び検証(2023年度)
モルヒネ等のオピオイド物質は強力な鎮痛薬としても広く利用されている。但し、その鎮痛作用には個人差が大きいことがよく知られており、そのことが効果的な疼痛治療の妨げとなっている。オピオイド系鎮痛薬の個人差には、環境要因以外に遺伝要因も寄与すると考えられるが、実際のがん患者において投与されているオピオイドの量と種類による鎮痛効果や副作用の個人差に対しては未だ網羅的な遺伝子要因の探索研究は行われておらず、詳細については未解明の部分も多い。そこで、本研究は、がん患者における疼痛治療の効果及び副作用に関わる遺伝子多型の分布の関連を網羅的に調査し、疼痛治療の効果及び副作用のリスクマーカーとしての有用性を検討することを目的とする。当該年度においては、対象サンプルの解析を行った。患者の血液よりDNAを抽出し、Illumina社製 Infinium Asian Screening Array-24のチップを使用して全ゲノム領域の65万箇所以上の遺伝子多型を対象としてジェノタイピングを行い、一日当たりの経口モルヒネ換算オピオイド鎮痛薬必要量との関連をGWASにより解析した。GWASの結果、ANGPT1遺伝子のイントロン領域に位置するrs1283671及びrs1283720多型が一日当たりのオピオイド鎮痛薬必要量と有意な関連を示し、Tアレル保有者では非保有者と比較してオピオイド鎮痛薬必要量が高値であった。ANGPT1遺伝子はアンジオポエチンファミリーに属する分泌糖タンパク質をコードする遺伝子であるが、オピオイド鎮痛への寄与は明らかになっていない。
2: おおむね順調に進展している
当該年度の研究において、表現型との関連解析がほぼ予定通りに進行したため。
今後は、当該年度までの研究において行っていた関連解析を引き続き行う一方、有力な候補遺伝子多型に関しては、他種のサンプルを用いての追加解析を行う。臨床データとの網羅的な関連解析においては、オピオイド投与量の表現型以外に、嘔気や便秘等の副作用についても解析対象とする。また、関連解析において有意な関連が見出された多型に関しては、それが含まれる連鎖不平衡ブロックにおける他の多型などに関しても必要に応じてさらにジェノタイピングを行い、最有力候補多型(最もcausativeと考えられる多型)を同定する。また、必要に応じてImputation法などにより解析用多型データを補完し、より詳細な解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 14件、 招待講演 6件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
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