研究課題/領域番号 |
20K20554
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
吉川 元起 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (70401172)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
24,960千円 (直接経費: 19,200千円、間接経費: 5,760千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 音声変換 / ニオイ / 嗅覚センサ / パターン認識 / 音声 / 聴覚 / 直感 / 変換 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ニオイを音声情報に直接変換することにより、従来の嗅覚センサの測定・解析方法を根本的に変え、誰もが日常的に利用可能な嗅覚センサを実現することを目的とする。本研究では、嗅覚と聴覚に共通する「直感性」や、要素の重ね合わせが可能な「複合性」などの類似点に着目し、ニオイと音声を同時に測定可能な新しいセンサを作製する。これによって、これまで不可能であった、嗅覚センサによるニオイの直感的認識を可能にし、嗅覚センサの本質的な在り方に変革をもたらそうという点が挑戦的であり、産業的のみならず社会的・文化的にも大きな意義を有する。
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研究実績の概要 |
本研究は、嗅覚と聴覚に共通する「直感性」と「複合性」に着目し、ニオイを音声データに直接変換することにより、従来の嗅覚センサとは全く異なる新たな測定・解析方法を確立することを目的としている。 本年度は、昨年度までに構築したガス制御-音声測定システムを用いて、特に時間領域と周波数領域の両領域で測定を行う事により、各種ガスが識別可能であることを実証することに成功した。具体的には、共振器、スピーカー、マイクを組み合わせた音声測定システムに測定対象ガスを流し、その際に生じる共振器内のガスの密度や音速の変化を精密に測定した。得られた共振周波数の変化から、各ガスの音速を解析的に求めたところ、古典的な予測通り、対象ガスの濃度が高くなるとガス密度が高くなり、音速が低下することが確認された。この周波数領域のデータに対し、時間領域のデータ(特定周波数における音圧レベルの時系列変化)は、各種ガスの揮発性や濃度などの物理化学的特性によって、固有のプロファイルを示すことが明らかになった。この時間領域のデータから複数の特徴量を抽出して多次元解析を実施することにより、ガス種や濃度を識別可能であることを実証した。また、本アプローチで得られる音圧レベルの濃度依存性を調べたところ、極めて高い線形性が確認された。さらに、測定可能なガス濃度レベルを検証したところ、ヘキサン分子において数10 ppmまで測定可能であることが確認された。 この他、本アプローチで重要となるMEMSデバイスについて、その素子感度を向上させる手法や、これらセンサシステムの各種アプリケーションへの適用可能性についても検証を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各種ガスを明確に識別可能なシステムが完成しただけで無く、その解析方法まで確立することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果を踏まえて、今後は大きく分けて二つの方向に研究を展開する。 一つ目は、これまでに構築したガス制御-音声測定システムの簡便化である。現状のシステムでは、ガスの制御や音声の測定に実験室レベルの装置を用いているが、これを個人でも利用可能な部品によって構成し、同様のガス識別の可能性を実証する。 二つ目は、本アプローチの高性能化である。特にガスの測定で重要となる感度について、測定方法や解析方法などを多角的に検討することにより、可能な限り高い感度になるよう調整を試みる。
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