研究課題/領域番号 |
21K01689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小久保 みどり 立命館大学, 経営学部, 教授 (30234735)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リーダーシップ / 緊急事態 / グラス・クリフ効果(現象) / ジェンダー / 作動性 / 共同性 / グラス・クリフ現象(効果) / 組織事故 / グラス・クリフ / クライシス・リーダーシップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、緊急事態に対応するリーダーの行動を明らかにすることを目的とし、まず緊急事態のリーダー行動の事例を、各種事故報告書などから、質的に分析する。次にリーダーの緊急時のセンスメーキングの働きについて、先行研究のレビューから明らかにする。以上を整理して、仮説をたて、質問紙調査を行って、緊急時に効果的なリーダーの行動とリーダーのセンスメーキングの効果を検証する。さらにジェンダーにかかわる緊急時のリーダー選択の現象について質問紙調査等を行って調べる。以上を統合して、緊急事態に直面した組織のリーダーはどのように行動すれば危機を乗り越えられるのかを明らかにし、それを説明する理論的枠組みを導出する。
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研究実績の概要 |
緊急事態や危機に直面した組織のリーダーは、どのように行動すれば危機を乗り越えられるのか、という本研究の大きな研究目的に対して、2022年度は前年度に引き続き、危機の時に女性がリーダーに選ばれる傾向があるというグラス・クリフ(ガラスの崖)効果について、研究を行った。また、緊急事態に関する新聞雑誌記事を収集し、福島原発事故の資料を展示している東日本大震災伝承記念館とJCO臨界事故の展示および原子力事故関連資料のある原子力科学館へ出張し資料を収集した。 2022年度はグラス・クリフ効果についてすでに行ったオンライン実験の結果の分析をさらに進めた。グラス・クリフ効果がなぜ起こるのかの説明の一つは、危機の時には女性が持つとみなされる対人的特徴(共同性特性)が必要とされるからというものであった。しかし2022年度に進めた分析の結果では、業績不調の会社の社長に推薦することと、推薦前の社長候補者の人志向的リーダーシップ行動とはマイナスの関係があり、推薦後の候補者の共同性ともマイナスの関係となった。つまり候補者の対人的特徴に関連する変数とはマイナスの関係となっている。逆に、業績不調の会社の社長に推薦することと、推薦前の社長候補者の課題志向的リーダーシップ、推薦後の作動性、変化潜在力とプラスの関係があり、危機の時のリーダーには対人的特徴よりも課題志向的、作動性的要素が必要とみなされている可能性があるのではないかと考えられる。そうなるとグラス・クリス効果がなぜ起こるのかについての説明も再検討する必要があるのかもしれない、ということが新たに分かった。これらについて、産業・組織心理学会大会で発表し、論文にまとめた。さらに、お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所が主催した国際シンポジウム「『ガラスの崖』をよじ登る―『ガラスの天井』の先にあるもう一つの見えない障壁」に招待されて研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度まで学部長職についており、2022年度はその最終年度で、特に多忙であり、学部の授業と、修士と博士の大学院生の指導にも追われ、研究時間を十分確保することが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍がおさまってきたので、学会大会や研究会への出張、資料収集の出張も行う。またオンラインによる質問紙調査も行う予定である。昨年度に引き続き、次の点を行う予定である。 1.昨年度収集した組織の緊急事態の事例の新聞雑誌記事から、緊急時の組織トップと現場のリーダーシップ行動をまとめ、先行研究からの知見と統合して、緊急事態に効果的なリーダーシップを明らかにする。 2.危機の時に女性リーダーが選ばれる傾向があるというグラス・クリフ効果について、2022年度の成果を踏まえて、その発生のメカニズムを明らかにするオンライン質問紙調査を行う。
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