研究課題/領域番号 |
21K08114
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 教授 (40296108)
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研究分担者 |
松村 貴由 自治医科大学, 医学部, 講師 (80436485)
唐澤 直義 自治医科大学, 医学部, 講師 (60631893)
駒田 敬則 自治医科大学, 医学部, 講師 (90824730)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | サイトカイン / 炎症反応 / 心血管疾患 / プロテアソーム / 炎症 / 心血管病 / インフラマソーム / ユビキチン / メチロソーム |
研究開始時の研究の概要 |
インフラマソームは強力な炎症性サイトカインであるIL-1β産生を制御する自然炎症経路の一つであり、心血管病の病態に共通する無菌性炎症の惹起に寄与する細胞内分子複合体である。申請者は最近、NLRP3インフラマソームの活性化を負に制御する新規E3ユビキチンリガーゼARIH2(Ariadne homolog 2)を同定した。また、ARIH2がメチロソーム複合体を構成するPRMT5やMEP50を標的とすることを見出した。そこで、本研究では、ARIH2に焦点を当て、インフラマソームを介した無菌性炎症と、メチロソーム複合体について、ARIH2により制御される分子機構の解明と心血管病での役割を明らかにすることを目指して研究を行う。
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研究実績の概要 |
インフラマソームは強力な炎症性サイトカインであるIL-1β産生を制御する自然炎症経路の一つであり、心血管疾患の病態に共通する無菌性炎症の惹起に寄与する細胞内分子複合体である。申請者はこれまで、心血管疾患におけるインフラマソームの重要性を報告し、その制御機構の解明が新たな治療法の開発に繋がることを明らかにしてきた。申請者らが同定したE3リガーゼであるARIH2は、NLRP3インフラマソームの活性化における負の制御分子であるが、その分子機序としてプロテアソーム系を介してNLRP3の分解を促進することでNLRP3インフラマソームの活性化を抑制することを明らかにした。また、ARIH2の新たな基質の探索を行い、メチロソーム構成分子(PRMT5とMEP50)を候補として同定したが、実際の結合を証明することができなかった。一方、心血管疾患におけるインフラマソームの役割を解明するため、LPS投与による敗血症性心筋症モデルを作成して検討を行った。LPS投与による心機能障害や致死率は、NLRP3およびCaspase-1の欠損マウスで改善したことから、NLRP3インフラマソームが寄与していることが明らかになった。また、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターでIL-18BP(内因性IL-18抑制因子)を高発現されたIL-1β欠損マウスにおいて心機能障害や致死率の有意な改善を認めたことから、NLRP3インフラマソームの下流因子であるIL-1βとIL-18の両方が敗血症性心筋症の病態に重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ARIH2の新規基質の同定はできなかったが、NLRP3インフラマソームの制御分子機構については明らかにすることができた。また、敗血症性心筋症におけるインフラマソームの役割およびその分子機構についても新たな知見を得ることができたため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
心血管疾患におけるインフラマソームおよびその制御分子ARIH2の役割を解明するため、関連分子の全身欠損マウスや細胞特異的欠損マウスを用いて解析を継続していく。また、NLRP3変異によって引き起こされる難病であるクリオピリン周期熱症候群(Cryopyrin-associated periodic syndrome:CAPS)での解析や、2本鎖DNA(dsDNA)を認識して炎症や細胞死を惹起するAIM2インフラマソームの解析を進める。これらに関しては、最近、CAPSの温度感受性機構や急性腎障害におけるAIM2インフラマソームの役割を明らかにして報告も行った。これらの検討によりインフラマソームによる炎症や細胞死の惹起機構および病態での役割についての包括的な解明を目指していく。
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